職場体験[4]
何だかんだ落ち込んでいたグラウィスも、自身の手で武器や装飾品などを造れると思うと楽しくなって来たのか、鍛冶屋に近付くにつれてすっかりと元気を取り戻していた。
「やっぱ1週間じゃ斧は造れませんかね?」
「流石に1週間じゃ斧は無理かな。というか正直短剣なんかをまともに造れたら良い方だと思うよ?」
「うーん、斧は無理ですかぁ....」
「2週間くれれば何とか出来るかもよ~?」
「絶対あげませんよ?!」
「皆さんはもう何造るか決めました?」
「うーん、やってみないと分かんないけど僕あんま器用じゃないからなぁ....簡単な小物とか面白い物作れたら良いかな!」
「私は武器はこの前手入れをして貰ったレイピアで間に合っていますし、何か綺麗な装飾品などを作ってみたいですかね」
「成る程....因みにラズルさんももう決まってます?」
「あー、俺も武器なんて造ろうもんならルーちゃん達が面倒そうだしなぁ....」
「やっぱピッキング様のピックとテンションだな!」
「何鍛冶屋終えたら盗賊に転職しようとしてるんですか?!ていうか何ですかその道具聞いた事もないですよ?!」
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それぞれが何を作るかという会話で盛り上がっていると、いつの間にか鍛冶屋に到着していた。
「じゃあ入って入って~!」
中へ入るも客の姿は無く、様々な武器に囲まれたカウンターに座って眠そうにしている2人の母しか居なかった。
「ん、いらっしゃ....ってララにロロ!それにお友達の皆さんまでどうしたの?」
「職場体験で皆に鍛冶を体験して欲しくてさ。1週間なんだけど大丈夫かな?」
「あらそうなの?あたしは全然大丈夫だけど、あの人が面倒な性格してるからねぇ...きっと「1週間ごときで鍛冶を体験しようなんざ鍛冶屋舐めてんのか?!」とか言い出すよ?」
「そこは私達が頼めば何とかなるよ~!」
「まぁ確かにあんたらには甘いけど、あんなんでも一応鍛冶一筋の男だしどうだろうねぇ....」
「うっ...と、とにかく何とかお父さんを説得して来る~!」
「ははは!じゃああたしはちょっと夕飯の買い物に行って来るから頑張りな。それじゃ皆さんもごゆっくり!」
そう言って母が買い物に出掛けると、ロロは本当に許可が取れるのか少しだけ不安になっていた。
「......これもし許可取れなかったら私の立場ないな~....」
「ふっ、まぁその時は俺に良い考えがあるから任せろ!」
「本当~?!」
「ロロさん止めた方が良いですって!ラズルさんの良い考えとか信用性0ですよ!」
「失礼な、今日はちゃんと喜んでもらえそうなお土産持って来たんだぞ?」
「お土産ですか......因みに何持って来たんですか?」
「そいつは秘密だ」
「不安要素しかないですね」
「お父さん身体は丈夫だから軽い爆発位なら全然大丈夫だよ~!」
「ほら、娘さんから許可が出たぞ」
「本当にお父さんに容赦ないですね....」
そうして許可を取るべくいつも作業をしているという工房へと移動すると、熱で赤く染まった鉄をハンマーでカンカンと叩いている親父さんが見えた。
「お父さーん!ちょっとお願いがあるんだけど良い~?」
「っっ?!その声はロロか?!」
ロロの声を聞いた親父さんはもの凄い勢いで振り向き、娘達の姿を確認すると満面の笑みを浮かべたが、作業中だという事を思い出すと直ぐ様打っていた鉄へと視線を戻した。
「今は作業中だ!!話を聞くのは打ち終わってからだ!!」
(「おぉ...!流石職人って感じですね。ロロさんの声を聞いても一瞬で意識を鍛冶に戻しましたよ!」)
(「ふっ...これはどうやら俺のお土産が必要....」)
バキィィィィィン!!!
「おっと力加減を間違えて割ってしまった。この鉄はもう駄目だな仕方ない、良し作業はもう終わりだな...それでお願いとは何だ?!?!」
力ずくで打っていた鉄を無理矢理割った親父さんは持っていたハンマーをぶん投げ、年頃の娘から「お願い」という言葉を聞きこの上なく嬉しそうな笑顔で駆け寄って来た。
「良かった。ラズルさんのお土産は必要なさそうですね」




