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職場体験[2]

「あー、確か職場の許可貰えれば良いんだっけか」


「家のお父さんそういうのは毎回断ってるんだけど~、私達がお願いすれば許可貰えると思うよ~!」


「俺もこの間実家に帰った時に皆の事話したら、お袋達も皆に会ってみたいって言ってたんでどうですか?!」


同時にラズルへと詰め寄る2人の目が合うと、お互いに火花を散らしながら『鍛冶屋 VS 農家』という良く分からない対決が始まった。


「グラウィスの実家ってここからそこそこ距離あるでしょ~?家だったら直ぐに着くよ~!」


「いやいや、職場体験で大事なのはあくまでそこで得られる貴重な経験ですし、距離があると言ってもそんな何日も掛かるという訳では....ないですよ?」


「まぁ距離はあんま気にしなくて良いぞ」


「ですってー!」


「むぅ~....じゃ、じゃあそっちに行ったら得られる経験は~?」


「それは野菜を育てる事によって食べ物の大切さについての理解が深まる事です!いやー、自分で作った野菜は格別ですよ!」


グラウィスが勝利を確信し、勝ち誇った表情でふんぞり返っていると、ロロからの強烈なカウンターが帰って来た。


「....へ~、じゃあさ~」












「この時期に1から育てて2週間以内に育つ農家で作るような野菜言ってみ~?」


「..........」


確かに頑張れば2週間以内に育てる事の出来る野菜は無いことはない。しかし、それらはどれも家庭内で育てる事が出来る様な物であり、わざわざ農家にまで行かなくても良いと納得してしまったグラウィスは何も言い返せず、すかさずそこへロロが追い打ちを掛けていった。


「因みに家なら2週間どころか、1週間以内に簡単な物だけどまともな形の武器や装飾品が造れる様になるよ~!」


「た、確かに2週間じゃ難しいですけどそれでも....!」


何とか気持ちを立て直し、農家にしかない良い事を挙げようとすると....


「ついでに言うなら武器や装飾品は形に残るから思い出にも残り易いよ」


「ぐふぅ....!」


今まで沈黙を貫いていたララに止めを刺された。


「こ、こうなったら....!」


本人にはその気が無かったもののララの参加によって2対1の構図となり、状況が完全に不利となったと見たグラウィスは最後の手段へと出た。


「多数決です!ここは皆に決めて貰いましょうよ?!」


「ふっふっふ、良いだろう~!」


「じゃあ皆良いと思った方に手を挙げて下さいね?行きますよ?!」


「農家に行きたい人ー!!」


「「「「................」」」」


しかしラズル、クイナ、フラン、アリアの誰1人として手を挙げる事はなかった。


「そんな....」


目に見えた完全敗北に絶望したグラウィスは膝から崩れ落ち、反対に勝利が確定したロロはグラウィスに煽りの笑みを向けていた。


「じゃあいくよ~。鍛冶屋に行きたい人~!!」












「「「「................」」」」


....が、またしても誰1人として手は挙がらなかった。


「そんな....」


予想外の結果にロロも同じく膝から崩れ落ち、ずっと目の前の光景を黙って見ていた4人は同時に同じ事を思っていた。


「「「「どっちも行けば良くね(ない)(ないですか)?」」」」


「「........成る程」」


「え、今の時間何だったの?」


こうして1週間ずつそれぞれの職場へ行くという事で、長きに渡った『鍛冶屋 VS 農家』という無意味極まりない戦いは幕を閉じた。

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