王都[1]
宿を探しながら商店街をぶらぶら歩くラズル一行。見た事の無い食べ物や物、何もかもが新鮮であった。
「お!あれも美味そうだ!」
「おっちゃん、これとこれと...これもくれ!」
「毎度あり!」
ラズルは目に入った美味しそうな食べ物をクイナから預かったお金で片っ端から買っていく。
「ちょっとラズルさん?!そんなにいっぱい買わないで下さい!」
「まだ金はあるんだからこれ位良いじゃねぇか!」
15分後…
「クイナ...もうちょっとだけ金をくれ」
「早っ!もう無くなったんですか?!」
クイナはラズルに大銀貨を1枚渡していたが全て食料へと変わった。
「いや、だって美味そうだったし...」
「だからといって限度ってものがあるでしょう!ラズルさんにはもうお金は預けません!」
「後で返すから!後ちょっとだけ頼む!」
「駄目です!直ぐに無くなるのが目に見えてます!」
「他にも買わなくちゃならない物もありますし、宿も幾ら掛かるか分からないんですから無駄遣いは出来ないんですよ」
「...無駄じゃねぇし」
「"何か言いました?"」
「いいえ、何でも無いです」
ラズルはクイナの圧が籠った言葉に返す言葉が無い。
「はぁ...さっきお店の人に近くのなるべく安い宿屋を教えて貰ったので、取り敢えずそこに行きましょう」
「流石クイナさん!仕事が早い!」
「馬鹿な事言ってないで早く行きますよ!」
「はーい」
クイナ達はお店の人に教えて貰った宿屋へと向かう。
「えっと、ここですね」
辿り着いたのは、これぞ宿屋!という何の変哲もない普通の宿屋だった。
「随分と普t...?!」
「はい、絶対言うと思ってました」
「前も言いましたが、お店の前でそういう事言わないで下さいって!」
「悪い悪い、ついな」
「全く..早く受付しますよ」
中へ入ると、しっかりと掃除の行き届いた綺麗な宿屋であった。
「あっ!いらっしゃいませ!」
受付で元気良く挨拶してくれたのは10半ば程の茶髪を結んだ綺麗な女の子。
「すみません、取り敢えず3日程泊まりたいのですが、お部屋は空いていますか?」
「はい!2部屋ですと2食付きの3泊で大銀貨1枚と銀貨8枚となります!」
「あ、1部屋で大丈夫です」
「あっ!でしたら銀貨9枚となります!」
「はい、銀貨9枚ですね」
「はい、確かに!お母さーん、お客さんだよー!」
「はいはいはい、いらっしゃいませ。えーと1部屋ですね」
「メイ!お客様を案内して差し上げて」
「はーい!どうぞ、こちらです!」
「あっ、この宿ってペット...じゃなくて使い魔って大丈夫か?」
「壁や物を引っ掻いたり、他のお客様にご迷惑が掛からないのでしたら大丈夫です」
「お、じゃあ大丈夫だ」
「え!どんな使い魔なの?!」
「こら!メイ!」
「あ、私達は大丈夫ですよ。メイちゃん...で良いかな?楽に話して良いよ!」
「え?本当ですか?...じゃなくて、分かった!」
「私はメイ!宜しくね!」
「私はクイナです。そしてこっちが」
「ラズルだ、これは俺の使い魔のネラだ」
「わぁ...」
メイはラズルに見惚れており、ネラの存在に気が付いていなかった。
「キュウ!」
「わわっ!びっくりした...って何この子?!」
「え、え?ドラゴン?ドラゴンの子供?!」
「可愛い!!ラズルさんこの子抱っこしても良いですか?!」
「おう、構わないぞ。ほれっ」
ラズルはいつの間にか背中に張り付いていたネラを引き剥がしメイへと渡す。
「か、可愛い...」
「キュウゥ」
メイはネラを優しく抱き上げる。ネラも大人しくしていた。
「えへへ~ネラちゃんって言うのか~私はメイ、宜しくねー!」
「キュウ!」
「あっ!そうだ、部屋まで案内しないと!」
「こっちだよ!」
メイはネラを抱いたまま部屋まで案内してくれる。
「ここがラズルさんとクイナちゃんとネラちゃんの部屋で、これは鍵ね!」
「名残惜しいけど...また何かあったら呼んでね!ご飯の時間の間にさえ食堂に来てくれれば食べられるからね!」
メイはネラをラズルへと返すと走って戻っていった。
「凄い元気な子ですね」
「元気なのは良い事だ」
「あ、そういえば俺もさっき屋台のおっさんに教えて貰った冒険者ギルドって所に行ってみたいんだが良いか?」
「冒険者ギルドですか...お金も稼がなきゃですし丁度良いですね。行ってみましょう!」




