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本性[3]

皆からの視線を集めているランヴェは状況が分からなかったが、その視線を早く始めろという意味だと勘違いし、直ぐ様中央で待っているレギナの元へと向かった。


(ラズル先輩何でうんこマンとか叫んでたんだろ....まぁあの人の事だからいっか)


「いやー、待たせてごめんね!」


「....あんたこれから更に苛められるわよ」


「確かに待たせちゃったみたいだから皆怒ってるかもしれないなぁ」


「はぁ...もうさっさと始めましょう。このままだと私まで変な目で見られそうだし」

 

「....そっか、じゃあはい」


「..........」


模擬戦前の礼儀として目の前に差し出された手、レギナもそれを見て手を差し出そうとしたが、途中である事に気が付いてしまった。












(これ握手したら私まで被害を受けてしまうんじゃ....?!)


それぞれ歳の違いがあれども1部生は10歳から14歳までの子供。ただでさえ苛めの対象であるランヴェと握手を交わしてしまえば周りは(うわぁ...あの子あいつと握手してるよ....)という印象を少なからず受けてしまい、その事についてしばらく(いじ)られる事になり、それが悪化すれば握手をしただけで自分も苛めの対象になる可能性すらあり得る。


それがまだ第3王女であるレギナであれば苛められる事など無いであろうが、目の前に差し出されるは()()()()()の右手。その手を握ろうものならばいくらレギナであろうと被害を受けるのは必然的であった。


レギナが握手をするかどうか迷っていると、段々と1部生達がざわつき始めた。


(「まさかレギナ様あいつと握手するつもりかしら?!」)


(「そ、そんな訳ねぇだろ!レギナ様は1番あいつの事を嫌ってるんだぞ!」)


(「いやでも丁度良いんじゃない?王女様だからって気を使うのも疲れて来たし、あいつと握手したら距離取れるじゃん!」)


(「いやでもお前それは....」)


(「ぶっちゃけあんたも無理矢理合わせてるだけでしょ?」)


(「..........」)


1部生達がざわつき始めた頃、ラズルはガウから隠れながらそんな2人の様子を見ていた。


(ふはははは!ざまぁみやがれ糞ガキ!)


(もしお前がその手を握ろうものならば、明日からお前の事を良く思ってない奴らは陰でお前の事を()()()()()()()、もしくは()()()()()とでも呼ぶだろうなぁ?!)


(....ま、仕返しはこの位にしておいて、後はあいつ次第だな)


「..........」


1部生達の会話はレギナにも聞こえていたが、特に気にしない様子で1度辺りを見渡すとラズルと目が合った。


(くっ...!まさかこれもあの男の仕業?!)


(さぁどうする?お前が今まで目の前の男を苛めてまで大事にして来た余所見ばかりの奴らを取るか....)












「ん?どうかしたの?」


(苛められながらもずっと()()で自分を見てくれた男を取るか)


「......はぁ、何でもないわよ」


深く溜め息をつくと、レギナはランヴェの手を握った。


「あんた......ランヴェは素手で良いの?」


「あはは、僕には武器は重過ぎるからさ」


「そう....それじゃ、私も苛められない様にあいつらに力の差を見せ付けてあげましょうかね...!!」


ランヴェは素手で、レギナは細剣を構えると、今までのどんな試合よりも印象に残る試合が始まった....












「はぁ..はぁ...何で当たらないのよ?!」


「ほらほら!そんなじゃ僕には1発も当てられないよ!!」


その後1時間、レギナの攻撃をランヴェがただひたすら躱すだけというとてつもなく地味な試合が続いた。

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