本性[1]
「ラズル先輩見てましたか?!あのレギナに言いたい事言ってやりましたよ!」
今まで散々自分を苛めて来た相手に言いたい事を言えたランヴェの表情は今までにない程晴れ晴れとしていたが、反対にラズルの表情は曇り始めていた。
「あー....うん、良かったな」
「もうこうなったら怖いもの無しです!」
「自信が付いたのは何よりだが、お前も早く移動した方が良いぞ?」
「はっ...!じゃあ僕も行って来るんで、ちゃんと見てて下さいね!」
慌てて訓練場へと向かったランヴェを見送ると、ラズルは呆れた様に深く溜め息をついた。
「溜め息なんてついてどうしたんですか?あの子前会った時より随分と明るくなったじゃないですか!」
「それは間違いなく良い事なんだが....何か急にやる気無くなっちまった」
「これからって時に何言ってるんですか!皆が席取っといてくれるみたいですから、私達も早く観客席行きましょうよ!」
「んー....もう正直どの試合も興味無くなっちまったんだよなぁ」
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「おらおらどうしたどうしたぁ?!そんな所に居たらモーニングスターシゲルの餌食だぜぇ?!」
「タロウー!!焦らず1度距離を取りましょう!モーニングスターシゲルの弱点は持久力ですよー!!」
教師や1、2部生が静かに見守る中観客席で無駄に大きな声援を送る2人の男。タロウに関しては担当の先輩からの勇気を貰える熱い応援であったが、モーニングスターシゲルからすれば知らない先輩からの熱い応援という最早恐怖を感じる状況であった。
タロウはグラウィスの助言通り1度距離を取る
と、改めて剣を構え直して機をうかがう。
………………
互いの息遣いが聞こえて来る程の静寂が2人を包み込む。そんな状況下で睨み合う2人の間には何者にも邪魔出来ない程の緊張感が....
「「いっっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」
「"お前ら次口開いたら2度と喋れねぇようにするからな?"」
「「すみませんでした」」
害悪な先輩が観客席にて見回りをしていたガウに頭を鷲掴みされ大人しくなった結果、本来の実力を発揮したモーニングスターシゲルの勝利となった。
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ガウに怒られた事と弟の様に可愛がっていたタロウが負けてしまったショックによりグラウィスは放心状態であり、唯一興味があったモーニングスターシゲル戦を見終えたラズルも心底暇そうであった。
「ラズル君はまだしもグラウィス君まで怒られるだなんて珍しいですね」
「アリアさん俺が教師に怒られたの実は初めてなの知ってます?」
「だってラズル君ですから♪」
「ラズルラズル!さっきの担当の子が使ってたのってモーニングスターだよね?結構珍しい武器だけどラズルが教えたの?」
「いや俺担当じゃないんで」
「良くあんな応援出来たね?!」
「そう言えば結局誰の担当だったんだろうな」
「私だよ~」
「お前かよ」
「丁度モーニングスターが家にあったから取り敢えず渡してみたら何か上手くいったんだ~。あ、勿論危ないから棘の先は丸めてるよ~」
「ララの担当はどいつなんだ?」
「私の担当はあそこに座ってる……」
そんな雑談を交わしていると、とうとうランヴェとレギナの番が回って来た。




