変化[8]
「はい、それでは全員くじを引き終えたみたいですね!ではこれから1部生徒の皆は訓練場に、2部生徒の皆さんは観客席で応援してあげて下さい!」
皆が先生の指示通りに訓練場へと移動して行く中、レギナはランヴェへ、クイナはラズルの元へと近付いて来た。
「ラズルさん久し振りです!1ヶ月も私と会えなくて寂しかったんじゃないですか~?あっ、そうそう私この1ヶ月でちょっと変わった所があるんですけど何処だと思いますか?!」
「体重」
「ラズルさんは何も変わってないみたいですね」
2人がそんな感動の再会をしている一方、ランヴェとレギナの間はピリピリとした雰囲気が漂っていた。
「あんたは確か14歳だった筈だけど何で私と当たったのかしら?」
「............」
「まぁそんな事どうだって良いわ。この1ヶ月間あいつに何か教えて貰ったみたいだけど....はっ!所詮あんたがどれだけ努力しても変わらないだろうけどね!」
「い、いや...そんな事は....」
レギナを前にしたランヴェはあからさまに体がすくんでおり、それを見たレギナは気を良くしたのか自分の事について話し始めた。
「私はクイナに色々と教えさせたから前より更に強くなったわよ!」
(「今の聞きました?!あの生意気な王女が私のお陰で強くなれたって言ってますよ!ふっ...これはいくらあの子がラズルさんの教え子でも私が鍛えたレギナには....」)
「最初はこんなのが私を教えるなんて大丈夫かと思ったけど....まぁ中々良かったわ!」
(「ラズルさん私もそっちサイド行きますね」)
(「そもそも良くあの糞ガキサイドに行けたな」)
(「うーん、確かに最初は生意気で私も困ってたんですけど、ちょっとだけボコ....力の差を見せたら言い方はあれですけど素直に教えてって言って来ましたし、一緒に過ごしてみると意外と良い子でしたよ?」)
(「あいつが良い子?あー....成る程な。そいつは良い事を聞いた」)
「それでどうするの?運悪くそんな私と当たっちゃった訳だけど、先生に言って棄権でもした方が良いんじゃない?」
「............」
ランヴェは俯いたままプルプルと震えているだけで何も言い返さず、そんな姿を見たレギナは追い打ちを掛けていく。
「言っとくけど今回はいつもみたいに手加減なんてしないから!私も本気で行くから止めるなら今の内よ?」
ここでランヴェは初めて視線を上げ、決まったと言わんばかりのドヤ顔で胸を張っているレギナを見ると....
「ふふっ」
レギナの目を見て静かに微笑んだ。
「っ...!何笑ってんのよ!!」
「いやごめんね、僕も初めてレギナ様と会った時から苛められて来たから....正直今まで怖かったんだ」
「だったら大人しく....!」
「凄く大きなドラゴン」
「......は?」
今まで何をしても逆らって来なかったランヴェが突然訳の分からない事を言い出し、今まで余裕の表情であったレギナからは焦りが見え始めた。
「他にも記憶が無くなる程の訓練をさせる先生、何をしでかすか分からない先輩、ついでに昼間からお酒を飲むおじさん達」
「っ...!さっきから何意味の分からない事言ってんのよ?!」
「んー、今思い出してもこの1ヶ月間色々とあったんだけど....」
「正直どれもレギナより怖かったんだよね」
「っっ....!!!」
「だからもう何も怖くない。それに僕自身も変わったからね!いくらレギナが強くっても今回は僕が勝つよ!」
「......そう、なら覚悟しなさい」
ランヴェに歯向かわれて怒るかと思いきや、意外にもレギナは落ち着いた様子でその場を去って行った。




