変化[7]
無事?に13歳の最後のくじを引けたは良いものの、生徒だけでなく信じていた先生までも自分の自己紹介を聞いていなかったという事実を前に、ランヴェの心は多大なダメージを負っていた。
「ま、まぁお陰で当たれるかもしれないんだから良いじゃねぇか!」
「......でも13歳の人は11人も...ははっ、僕も入れて12人でしたね....」
「見る前から弱気になってどうする!確かにこればかりはどうしようもないが....信じなければ来るものも来ないぞ!」
「そ、そうですよね!それに僕の運の悪さならきっと苛めの主犯であるレギナ様と当たる筈です!」
今まで受けて来た屈辱を晴らす為、そして何より弱い自分を変える為...ランヴェの1ヶ月間の努力はたった1枚の紙切れに託された。
周りと比べて明らかに異常な程の緊張感が漂う中、2人の手はそのあまりの緊張に汗が溢れ出ている。
「で、ではいきます....!」
今回のくじ引きは前回とは違い特殊な物であり、13歳の場合2枚で1ペアのくじが6ペア分入っている。
自分が引いたくじとペアであるくじを所持している生徒の名前が書かれる為、前回の数字の様に間違える事はあり得ない一発勝負。そんな中ランヴェが引いたくじには....
「あっ..汗で滑って落としちゃいました」
「成る程、更に運を落として不運を呼ぶとは良い作戦だな」
「........ですよね!」
そんなアクシデントの事は忘れ、今度は滑らない様にしっかりと汗を拭き取りゆっくりとくじを開いていくと....
"シゲル"
「いや誰だよシゲル」
「シゲルちゃんは身長152㎝体重41㎏の趣味が茶道の女の子です」
「んな事今は..!ちょっと待て何だその滅茶苦茶どんな感じか気になる女は後でどいつか教えろ」
「分かりまし....ってこれどうしましょう?!」
「だ、だだっだ大丈夫だ落ち着けシゲル!深呼吸だシゲル?!」
「ままままずはシゲル先輩が落ち着いて下さい?!」
絶対にレギナを引けると信じていた2人がシゲルによって混乱してあたふたとしていると、隣でくじを開いていた男子生徒の声が聞こえて来た。
「あー!グラウィス兄ちゃん僕レギナ様とだー!」
....ピタッ
「んー、確かにあの子は強そうですが、俺の特訓を乗り越えた今なら誰にも負けませんって!」
「でもやっぱ怖いよぅ....」
「そこの少年!どうやらお困りのようだね?」
「え?」
「あっラズル!久し振りですね!」
グラウィスは久し振りという事で握手をしようと手を差し出すが、ラズルはそれを無視すると少年の耳元で静かに囁いた。
(「俺のシゲルと君のレギナ交換しない?」)
「何後輩の前で堂々と不正しようとしてるんですか」
「うーん、シゲルちゃんかぁ...でもあの子苦手なんだよなぁ....」
「大丈夫だって!身長152㎝体重41㎏の趣味が茶道の大人しい子だって!」
「確かにシゲルちゃんは大人しいけど....茶道で鍛えられた手首で振り回すあのモーニングスターがちょっと....」
「ねぇそれ本当にどの子?どんな子か気になって仕方ねぇんだけど」
「それにそんなのグラウィス兄ちゃんが許してくれないよ」
「そうですよラズル!俺の前でそんな不正は許しません!」
「......グラウィスちょっと耳貸せ」
「はんっ!何を言われたって俺は不正なんて許しませんよ!!」
~~~~~~~~~~1分後~~~~~~~~~~
「戦闘において相手が強敵の場合は1度引く事も肝心です。今はまだ勝てなくてもいつか勝てれば良いんです!!」
「え、良いの?!」
「....はい!今からモーニングスターシゲルの対策を一緒に考えましょう!」
「うん!...あっ、兄ちゃんこれレギナ様のくじね!」
「ありがとな!モーニングスターシゲル対策頑張れよ!」
グラウィスとの取引で手に入れたくじをランヴェに手渡すと、爽やかな笑顔を浮かべながら両肩をがっちりと掴んだ。
「次はお前の番だ!」
「何かもうここまで来ると先輩が頼もしく見えて来ました」
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一方その頃レギナとクイナは……
「......ねぇあんた、今このくじタロウからランヴェに変わらなかった?」
「......気のせいじゃないですかね」
突然タロウからランヴェへと変化したくじに疑問を持っていた。




