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初めての旅立ち[9]

「おーい、おばちゃーん!近くに来たからまた泊まらせてくれよ!」


「?!」


「さっき村の人から聞いたけどまさか...あんた達があいつらを何とかしてくれたのかい?!」


ラズルの声を聞いたおばちゃんはもの凄い勢いでラズル達へと近付いてくる。


「おう、もう安心して良いぞ」


「本当に...本当にもうアイツらは居ないんだね....」


「ありがとうよ...この村を救ってくれて」


おばちゃんは涙を流しながらラズル達にお礼を言う。


「良くして貰ったお礼だから気にすんな!」


「それで、また一泊したいんだが部屋は空いてるか?こんな良い宿だから部屋が空いてるか心配なんだ」


「はっはっは!良い性格してるじゃないか。今ならどの部屋でも選び放題だよ!」


おばちゃんは涙を拭いながら笑う。


「じゃあ、また1部屋頼む。クイナ」


「はい、銀貨2枚ですよね」


クイナがテーブルに銀貨を置くと、おばちゃんは銀貨をクイナの手の中へと戻した。


「今日は記念日でねぇ、宿代は要らないんだよ」


「へー、何かめでたい日なのか?」


「今日は『村が救われた記念日』なんだよ」


「そりゃめでたいな。でも代金は払っとくぜ」


「代金なんて取れないよ」


「その代わりと言っちゃ何だが、今日の夕食は普段より豪華にしてくれないか?」


「?!...分かったよ、とびきり美味しいのを作ってやるさ!」


こうして豪華な夕食を楽しんだ後、ラズル達は直ぐに寝た。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「朝だよ!起きな!!」


「うおぉ?!やっぱり慣れねぇなぁ...」


「キュウ...」


「はっはっは、相変わらず良い反応してくれるじゃないか!」


「スゥースゥー....」


「....この子も相変わらずみたいだね」


「はぁ...本当にこいつは世話が焼けるな」


ラズルはクイナの尻尾を乱雑に握る。


「はぅぅ!!」


「はいはい、おはようおはよう」


「最近私の起こし方どんどん雑になってきてません?!」


「そんな訳無いだろ、女の子なんだから丁寧に起こしてるって」


「....最近夢の中でもラズルさんに起こされるので寝るのが怖いのですが」


「知ったこっちゃねぇよ」


「起こされるのが嫌だったら自分で起きれば良いだろ」


「それが出来ないから困ってるんですよぉ...」


「朝っぱらからいちゃついてないで、早く朝食を食べて、その後にいちゃつきな!」


「い、いちゃついてなんていません!」


「はいはい、仲が深まった様で何よりだよ」


「うぅ..」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


朝食を食べた後、直ぐ様ラズル達は王都へと向かうために宿を出る。  


「2日間ありがとうな」


「礼を言うのはこっちの方だよ、村を救ってくれて本当にありがとう」


「またいつか寄らせて貰いますのでその時は宜しくお願いします!」


「その時はまたサービスするよ!」


「じゃあ、元気でな!」


「さようなら!」


「キュイィ!」


「気を付けるんだよー!」


後にラズル達は、村の英雄として後世まで語り継がれるのだが、今はまだ誰も知る由もない。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ラズル達は村を出て、今度こそ王都へと向かう。道中何事も無く、無事に王都へと辿り着いた。


「これが王都か!でっけぇなぁ!」


「わぁぁ!凄いですね!」


「あそこから入るのか?」


ラズルが指を指した先には王都へと入る為の門だった。1列に長い人だかりが出来ている。


「どうやら中へ入る為にはこの列に並ばなくてはいけないみたいですね」


「面倒くせぇなぁ...」 


そう良いながらも素直に列の最後尾へと並ぶラズル。


しばらく待っているとようやくラズル達の番が回ってきた。


「お待たせ致しました。次の方どうぞ」


全身を鎧で包んだ門番に呼ばれる。


「身分証明書はお持ちでしょうか?」


「悪い、2人共持ってないんだ」


「かしこまりました。お手数ですがこちらの水晶へと手をかざして頂きます」


ラズルは言われた通りに出された水晶へ手をかざす。


水晶は数秒白く光り、そのまま直ぐに光は消えた。


「はい、問題ございません。そちらの方もお願い致します」


クイナも水晶へ手をかざすが、ラズル同様の反応だった。


「はい、問題ございません。最後に、そちらは...?!ドラゴンでしょうか?」


門番は一瞬驚いた様子を見せるが、直ぐ様冷静に対応を始めた。


「ああ、俺のペットみたいなもんなんだが、入っても大丈夫か?」


「使い魔登録をして頂いているのであれば問題ございません」


「分かった、じゃあその使い魔登録とやらをしてくれ」


「かしこまりました」


使い魔登録とは魔物を自分の使い魔として血の契約を交わすものだ。


思っていたよりもすんなりと使い魔登録は終わった。


「はい、これで問題ございません。ようこそ〈王都カピタール〉へ!是非ともお楽しみ下さいませ!」


「おう、ありがとさん」


門を抜けるとそこには賑やかな人々、大きな家から小さな家まで、どこまでも建物が並んでいる見る者を圧倒させる様な景色が広がっていた。


何よりも目を引くのが、門の外からでも見える程の大きさの王城。白をベースとした神聖さ溢れるとても美しい城であった。


「こいつは凄ぇな....」


「こんな景色初めて見ました....」


「なあ!早くどこか行ってみようぜ!」


待ち切れない様子でラズルはウズウズとしている。


「取り敢えず宿を探しながら店などを見て回りましょうか!」


「クイナ!ネラ!はぐれんなよ!」


そう言うとラズルはネラを頭に乗せ、人混みの中へと入っていく。


「置いて行かないで下さいよ?!」

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