変化[4]
冒険者ギルドを後にしたラズルとランヴェは、前回と同様に1部校舎の中庭に向かっていた。
「この1ヶ月間で皆も変わったんだろうなぁ」
「そうだな....ん?皆も?」
ラズルはランヴェの頭から順に足の先まで見ると、何か納得したように頷いた。
「あー、成る程間違い探しか。確かに言われてみれば何か足の裏とか変わった気がするな」
「何でそんな所見えるんですか?!あっ、そうだ!そこまで言うんなら闘力見てみますよ!」
「うーん....まぁ一応見てみるか」
「あれだけ訓練したんですからもの凄く強くなってますって!」
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『ランヴェ』種族…『人間』
闘力…351
武力…60 魔力…291
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「............」
それは、1ヶ月の間1日たりとも訓練を休まなかった少年にはあまりにも残酷な現実であった。
「確か前回は350だったよな。どうだ、いくつになった?」
「530000です」
「良し、そんな冗談が言える程余裕なら心配要らないな」
「...な、何で?!あんなに頑張ったのに何で....」
信じたくない事実を前に咄嗟に冗談を言っていたが、実際ランヴェは相当なショックを受けていた。
自身の才能の無さ、1ヶ月間の努力の無駄、そして何より自分が強くなる為に力を尽くしてくれたラズルに対しての申し訳なさに歯を食いしばりながら拳を握り締めた。
「......ラズル先輩、今日会った時ルー先生と話してましたよね」
「えっ、いや、そのあれはだな....」
「誤魔化さなくて良いですよ。全部聞こえてましたから」
「..........」
「....あの時ラズル先輩は「ほとんど変わっていない」。ルー先生も笑いながら「ある意味才能だ」って言ってましたよね?」
「...ああ、それは....」
「ルー先生の言う通りです。僕だって14年も生きて来たんですから、自分に才能が無い事なんてとっくに分かってます....現にそのせいで苛められて来たんですし」
自分がいくら努力しても何も変わらなかった現実を目にした事により、今まで誤魔化して来た劣等感が一気に溢れ出て混乱していた。
「...ん?ちょっと待っ....」
「冒険者ギルドで闘力を測った時もそうです。あの時も僕は良く分かっていないフリをしていました。今までだって本当は分かってるのに分からないフリをして来たんです」
「ラズル先輩が何とかしてやるって言ってくれた時、目を見てそれが本気だったと分かった時は本当に嬉しかったです。...けど、僕はやっぱり....」
「才能が無い」。そう言おうとした瞬間ラズルは全力でランヴェへ殴り掛かった。
「っっ...!!!」
ランヴェはそれを反射的に躱したが、あまりの風圧にへたり込んでしまった。
「ちゃんと話を聞け!ぶん殴るぞ?!」
「先に言って下さいよ?!何ですか今のパンチ!危うく顔面吹っ飛ぶ所でしたよ?!」
「うるせぇ!....てかお前さっきから何言ってんだ?」
「あれだけ頑張っても僕は何も変わらなかったんですよ!!もう流石にやる気無くなりますって....」
「....ん?いやだからお前何言ってんだよ。なんならあの3人の中で1番変わったのはお前だろ」
「......へ?いやだってラズル先輩ほとんど変わってないって....」
「あー、それな....?」
「良くルーちゃんの訓練で無傷で帰って来たなって....」




