変化[3]
ランヴェがこれからの事を思い少し緊張しながら待っていると、龍夜と虎日との涙無しではいられない感動の別れを終えたラズルが戻って来た。
「....待たせたな」
「あっ!ラズル先....なっ?!」
しかし、意外にもその両目は赤く腫れており、目元も少し湿っていた。
(あのラズル先輩がリュウヤさん達とのお別れで涙を流している....だと?!)
「....どうした?あいつらとの別れも済ませたんだしこんな所早く出るぞ」
(そんな馬鹿な...!この人が泣いてるのなんてさっき玉ねぎの汁が目に入って「目がぁぁぁ!!」とか言ってた時しか見てないぞ?!)
「....何をしてるんだ。こっからが本番なんだからもっと気合い入れてけ」
「はっ、はい!」
(...そうだよね。ラズル先輩でもやっぱお別れは寂しいよね....)
腫れた目を見られたくないのか、足早に森を出ようとするラズルを見たランヴェは嬉しそうにその後を付いて行った。
(くそ...!寝てる時に両方の瞼蚊に刺されて掻いちまった...こんな事になるならケチってむしよけスプレーにするんじゃなくて、婆ちゃんの言った通りゴールドスプレーにしときゃ良かったな....)
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その後ラズルはそのまま学園に戻ろうとしたが、途中で1ヶ月に1回は顔を出すというリタとの約束を思い出し、学園に戻る前に1度冒険者ギルドに寄る事にした。
「そう言えばホーンラビットの依頼って大丈夫なんですか?」
「あれは別に俺達が受けた訳じゃないからな、まぁその内龍夜達が報告するだろ」
(今回は小遣い稼ぎが出来なかったが....いつかまた会ったら今回の依頼の報酬と授業料を請求しなくちゃな)
「じゃあ待ってれば会えるかもしれませんね!」
「...いや、まだ別れたばかりだからな。今会うのはちょっとな....」
「っ!そ、そうですね....」
龍夜達の話題が出て来た途端に上を見上げて身体を小刻みに震わせているラズルを見たランヴェは、ラズルの気持ちを察して今はそっとしておこうと思い口を閉じた。
(ふふっ...あの後伝言を聞いたあいつの反応を想像したら笑いが止まらねぇ...!今会ったら確実に腹筋持ってかれるな....)
そんなこんなで冒険者ギルドへと到着し、ラズルはゆっくりと扉を開けた。
ギイィ……
扉を開けると無数のおっさんが昼間から酒を浴びる程飲んでいるという光景が広がったが、そんないつも通りの光景は無視してカウンターの方へと目を向け、若い男の対応をしているリタを見付けるとそのままじっと見つめた。
「ですからこちらはああなってこうなるという....っ!!」
ふと扉の方から視線を感じて見てみると、自身をじっと見ているラズルと目が合い、約束をちゃんと覚えていてくれたのだと嬉しくなって飛び出しそうになったが、今は対応中だと自分に言い聞かせて微笑みながら軽く手を振るだけにし....
バタンッ……
「良し、ちゃんと顔も出したし学園に戻るぞ!」
「ラズル先輩本当にいつか誰かに刺されますよ」




