変化[2]
「お久し振りですラズル様!ご命令通りしっかりと仕上げて参りました!」
ラズルを見付けたルーちゃんは瞬間移動の如く目の前へ現れて片膝を付いた。
そんなルーちゃんを無言で立たせると、話が聞こえない様他の4人から少し離れた。
(「...ルーちゃんこれ本当に訓練してやったのか?1ヶ月前とほとんど変わってないんだが....」)
(「....確かにこの私が1ヶ月間も鍛えてやってこれ程までに変化が無いとは思ってませんでした。もうこれはある意味才能ですね」)
「え、えっと...もしかして僕全然駄目だったんですか?」
2人が隠れて何かを話している姿を見たランヴェは、1ヶ月間訓練しても自身が全く成長していないのではないかと不安になっていた。
「い、いやそんな事は無い....ぞ?」
「良かったぁ...!あんな目に遭って何も変わってないなんて言われたら泣きますよ!」
グゥゥゥ~....
ラズルの言葉を聞いて自分は成長出来たのだと安心した途端、ランヴェは大きく腹を鳴らした。
「す、すみません....//」
「良しじゃあ飯にしよう!3人の訓練が終わった事を祝って豪勢にしてやるからな!」
「本当ですか?!ありがとうございます!」
(....まぁこいつの事だからさっきので分かってるだろうし、変わってないなら変わってないに越した事はないか)
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ランヴェがルーちゃんに改めてお礼を言った後、最後の食事という事でネラ達には1度それぞれの場所へと帰って貰った。
1ヶ月ぶりの4人で食卓を囲んだ食事...食べている途中に段々と別れが近付いている事に気が付いたのか、既に虎日は涙を流し始めていた。
そんな食事も誰も一言も話さないまま終わってしまい、とうとう龍夜と虎日との別れの時が来た。
「....ランヴェ、別れが終わったらちょっとあっちに行っててくれ」
「....分かりました。ではリュウヤさん、コヒナさん、色々とありがとうございました!」
「うん、ランヴェ君には色々と迷惑を掛けちゃってごめんね」
「あはは、全然気にしてないですよ!ではまた何処かでお会いしましょうね!」
別れを終えたランヴェが去り、ラズル、龍夜、虎日の3人が残された。
「じゃあな~」
「ちょっと待って下さいよ?!確かに別れは長引かせるものではないですけども!いくら何でもあっさりし過ぎでしょうよ?!」
あっさり帰ろうとして龍夜に引き止められたラズルは、ゆっくりと振り向くと龍夜の目を見て小さく微笑んだ。
「っっ...!師...!」
「やっべ!つい堪え切れなかった!」
「虎日、あんな奴との別れで泣く事ないぞ」
「ううっ..ひぐっ...」
龍夜は一向に泣き止まない妹の頭に手を乗せると、今までのラズルとの思い出を振り返りながら言葉を絞り出した。
「...虎日、泣き顔での別れは不幸を呼び、笑顔での別れは幸福を呼ぶ。だから....笑え」
「......ぐすっ...うん!」
「長ったらしい挨拶はしません。師匠のお陰で僕は変われました。本当にありがとうございました!!」
「....ラズルさん、私はラズルさんの事が大好きです!一生ラズルさんの事忘れません!ありがとうございました!!」
「....ははっ、同じ世界に居るんだからまたどっかで会うさ。じゃあな!2度目の人生楽しめよ!」
「師匠!師匠にも色々と迷惑をお掛けしてすみませんでした!!」
「はっ!そんな事もう気にしてねぇよ!」
未だに頭を下げている2人を見たラズルは嬉しそうに振り返り、そのまま何も言わずに去って行った。
「....色々と凄い人...いや、凄い神様だったな」
「うん....」
「それにしてもお前食事の時から泣くだなんて早過ぎるぞ!僕なんて結局1度も泣かなかったからな!」
泣いて目が腫れている虎日をからかう龍夜は確かに涙は流していなかったが、所々声は震えていた。
「ちっ、違うよ!あれはご飯を食べてる時にラズルさんが最後だからってずっと話し掛けてくれたからつい....」
「え、あの時は誰も喋ってなかっただろ?」
「うん、だから何かテレパシーみたいなやつで話してたんだ!」
「......ん?」
「あっ、勿論お兄ちゃんに伝言もあるよ!」
「っ!な、何て言ってた?!」
「『あいつ最初の頃俺をハブろうとしてたし....正直面倒だから虎日だけで良いや』だって」
「......ははは!最後まで師匠らしいや!全く本当にあの人ときたら....」
「ぶっ殺してやろうか」




