訓練[9]
ランヴェとルーちゃんを見送った後、残った3人と1匹と1本も昨日シオンが居た開けた場所へと来ていた。
「良し!ではこれより異世界初心者のおま....貴様らに何か色々と教える!返事は?!」
これから1ヶ月間龍夜と虎日を鍛え上げる事となったラズル教官は、手入れをされてご機嫌なヤーちゃんを肩に担ぎ、2人を見下ろせる岩の上に立っていた。
「「はい!!」」
「まず初めに、2人共昨日身を持って感じたとは思うが、元々貴様らが居た世界とは違いこの世界では誰がいつ何処で死んでもおかしくは無い!これだけは肝に銘じておく様に!」
「「はい!!」」
「良し!では右から順に自分の目標を言ってみろ!」
「「私(僕)は....」」
「お前は俺から見たら左だろうがぁ!!」
教官の分かりにくい命令に歯向かった龍夜は鞘に入ったヤーちゃんで頭を殴られた。
「し、師匠...指示が分かりにくいです」
「安心しろ。同じやり口じゃ殴らねぇから」
「後何種類あるんですか?!」
「そりゃあやろうと思えばいくらでもやれるぞ?」
「勘弁して下さいよ師....!」
そこまで言うといつの間にか龍夜の頭は地面にめり込んでいた。
「ごちゃごちゃうるせぇ!!....とかな」
「実演ありがとうございます痛い程分かりました」
「お兄ちゃんが地面に...!ラズルさん今のどうやるんですか?!」
「ん?今のか?今のはこうやって....こうだ」
早速質問を受けた教官は見せた方が分かりやすいだろうと、めり込んだ龍夜の頭を片手で引き抜いて再びめり込ませて見せた。
「凄い!私も今のって出来ますか?!」
「妹よ...小さい頃魔法少女になると言ってたお前は何処に行ってしまったんだ......ていうかそれ覚えたら一体誰に使うつもりだ?!」
そんな地面に顔を埋められた兄の悲痛な叫びは妹に届く事はなかった。
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その後無事に龍夜の頭を引き抜き、先程のふざけた雰囲気はない真面目な訓練が始まった。
「とまぁ無駄な時間を過ごした訳だが、取り敢えず目標は言って貰う。その方がやる気が出るからな」
「まず龍夜、お前は昨日の夜話したが改めて聞こう....どうなりたい?」
「...僕は昨日虎日とランヴェ君を危険な目に遭わせた挙げ句、あれが師匠が仕込んだものじゃなければ絶対に守り切れなかった。目の前の異世界に浮かれて現実が見えてなかった....」
「だから、もう自分勝手な妄想で他人を巻き込む様な事は絶対にしない....けど、師匠も言ってたけどこの世界は危険だから、僕は強くなって例え昨日の様な事になったとしても虎日や大切な人を守れる様になりたい」
昨日の夜はモテる為だと言ってたいた龍夜であったが、あくまでも自分自身が決めた本当の目標はこちらであった。
「....見違えたな。じゃあ次、虎日は昨日訓練に参加するって言ってくれた訳だが....どうなりたい?」
「私は昨日はまだ自分がどういう状況なのか良く分からなかったです...でも、自分があんなドラゴンが居る世界に居るんだって分かったら凄く怖くなって....」
「あの時お兄ちゃんだけに任せて私は何も出来なかった事が凄く悔しかったんです。だから、今度は迷惑を掛けない様に....いや、私がお兄ちゃんを守れる様になりたいです!!」
2人の目標を聞いたラズルは嬉しそうに頷いた。しかし、どこか複雑そうな表情でもあった。
「....成る程、ただ当然目標は立てるだけじゃ意味がねぇからな、その目標は何がなんでも達成しろ」
「「はい!!」」
「良し!んじゃ早速お前らを鍛え上げてやろう!」
その後龍夜は戦闘においての立ち回りを一通り教えられ、後は実践あるのみとラズルとの組手や、身体を元の大きさに戻したネラの遊び道具になったりと、日々ボロボロになりながらも1つ1つの技術を身に付けつつ、体力や精神などの根本的なものを鍛えていった。
一方虎日はそんなボロボロになった龍夜の回復をしたり、ラズル自身が色々と実験して見付けた魔法の技術を自身の魔力を通しながら教え、魔力切れによって倒れた際はラズルが神力を魔力に変換して与えは倒れを繰り返し、技術を身に付けつつ魔力の量を増やしていった。
本来であれば変換したとはいえ人間に神力を与えれば何かしらの影響が出るが、神から力を与えられた虎日には何の影響も与えない為、異世界人専用の方法であった。
そうして長くも短かった1ヶ月間の訓練は幕を閉じた……




