異世界転移[1]
「説明の前にまずは質問、お前らは異世界転移って何だと思っている?」
「いやいや、そんなの名前の通り異世界に飛ばされるんだろ?現にこうして僕らも体験してるし」
「....異世界だなんてアニメとか本の中だけのものかと思ってましたけどね」
「本当に夢みたいだよな!あの時死んだと思ったらいつの間にか変な所に連れて来られて、神様?がテンプレ通り凄い力くれたしさ!」
「お前の言う通り異世界転移とはその名の通り違う世界に飛ぶ事だ。じゃあ次の質問」
「神は何故そんな事をすると思う?」
「僕らが神様に会った時はこの世界の魔王を倒せって言われたし、神様が困ってるから偶々死んだ僕達をこうして力をくれた上で生き返らせてくれてるんだろ」
「それで僕達は色々な冒険をしながら仲間とか作ったりして魔王討伐するんだ...!」
「お兄ちゃん恥ずかしいから子供みたいな事言わないでよ....」
「はぁ....そこだ」
「「??」」
突然呆れた様に顔に手を当てながら溜め息をついたラズルに2人は首を傾げる。
「そこがお前らが勘違いしている所で....最も危険な所だ」
「危険?何が?」
「お前らは自分達にとって都合良く勘違いしてるんだよ」
「都合の良い勘違い....ですか?」
「お前らからすれば本来元の世界で死んだ筈が、神のお陰で別の世界で力を与えられた上で生きる事が出来る....とか思ってるんだろう?」
「確かに突然知らない世界に飛ばされて怖いですけれど...今こうして生きているだけで私達は神様に感謝しています!」
「........そこがもう既に勘違いしてるんだよ」
「良いか良く聞け....」
「お前達はもう死んでいる」
「「....は(え)?」」
ラズルの予想もしていなかった発言に2人は口を開けて唖然としていたが、直ぐに冗談だと思い頬を緩ませた。
「何聞き覚えのある台詞言ってんだよ!確かに地球では死んだけど....僕らは今こうして生きているだろ!」
「ラ、ラズルさん急に怖い事言わないで下さいよ!」
「........例えどんなに位が高くても、どんな神だろうとも死んだ生物を生き返らす事なんて出来ない」
「じゃ、じゃあ僕達は生きたまま異世界に飛ばされたパターンなのか?!」
「違う、お前らは間違いなく死んでるよ」
「....さっきから何言ってんだよ。じゃあ今ここに居る僕と虎日は何なんだよ?!?!」
「お前らは複製....分かりやすく言うとクローンだ」
「私達が......クローン....?」
青ざめた顔で俯く虎日はラズルが言っている事は頭では理解出来ていたが、自分自身は決してそれを理解したくはなかった。
「っ...!嘘を付くな!!僕達は僕達だ!!クローンなんかじゃない!!!」
龍夜は突然告げられた事を完全には信じていなかったが、目の前に居る絶対に人間ではない男が嘘をつくとも思えず、半信半疑のままラズルの胸ぐらへ掴み掛かった。
「嘘じゃない。俺がここで嘘をつく利点があるか?」
「っ............」
龍夜は何か反論しようと必死に口を動かそうとするが、突き付けられた現実を相手に出せる言葉など有る筈もなく、何も言えないまま胸ぐらを掴んでいた手を離した。
「お兄ちゃん....」
「......すまない、もっと詳しく聞かせてくれ」




