合同演習[12]
「....お兄ちゃんやっぱ戻ろうよ。こんな奥に来たら危ないしホーンラビットも居ないよ」
「僕らには力があるから大丈夫だって!それよりも僕が戦ってる間はランヴェちゃんを頼むよ!」
「うーん....」
「だ、大丈夫だよ!もし危なくなったら流石にお兄ちゃんも逃げるだろうし!」
「....あ、はい。ありがとうございます」
(ほ、本当にこれで良いんでしょうか....)
~~~~~~~~~~5分前~~~~~~~~~~
「はぁ...分かったらお前だけで帰れよ」
「分かった」
(え?!そんなすんなり帰っちゃうんですか?!)
ランヴェは龍夜に帰れと言われて何も言い返さずに帰ろうとしている事に戸惑っていると、頭の中にラズルの声が響いて来た。
『いやー、我ながら良く抑えたと思うぜ?』
『....え?ど、何処に居るんですか?!』
『ああ大丈夫大丈夫、テレパシーみたいなもんだ』
『そんな事出来るんですか?!てかそれ心の中筒抜けって事じゃないですか!』
『そんな簡単に心を読む事なんて出来ねぇっての....現にお前も今感覚的には普通に話してるのと変わらないだろ?』
『確かに....』
『まぁその話は置いといて、俺は取り敢えず帰るフリをするが、姿消してちょっくらこの先見て来るからお前はそのままこいつらに付いて行ってくれ』
「っ!....え?ちょっ!ラズル先輩!!」
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3人は森を進んでいると、森を抜けて少し開けた場所へ出た。
(あの人事だから先回りして罠でも仕掛けてリュウヤさんを殺めようとしてるんじゃないかと思ってたけど....流石にそこまではしないか)
(あれ?じゃあラズル先輩何処に行ったんだろう....)
すると先頭を歩いていた龍夜が足を止めた。
「...ん?あそこに誰か居るな」
3人から少し離れた所に立っていた人物は、背中に『R』と書かれたマントを羽織り、シンプルな仮面を付けたいかにも怪しい男であった。
「ふはははは!良く来たな糞野....勇者よ!」
「っ!な、何故その事を知っているんだ!お前は一体何なんだ!!」
「何だかんだと聞かれたら?答えてやるのが世の情けか!」
「俺の名は....」
謎の男は腕を組んで首を傾げると....
「貴様に名乗る名なんぞ無いわボケがぁぁぁ!!どうせ言ってもてめぇ間違えんだろうが!!」
この時点でランヴェは先程から思っていた事が確信へと変わった。
(何やってんだあの人ぉぉぉぉぉ?!?!)
「我らに語り合いなんぞ不要!さぁ勇者よ....私と拳で語り合うでござるでやんす!!」
(一人称と語尾ゴチャゴチャじゃないですか?!)
「ふっ....良いだろう、虎日!ランヴェちゃんと一緒に下がってろ!」
「わ、分かった!気を付けてね!」
「では勇者よ、始めようか....」
「行けシオン!君に決めた!」
『グ、グルガァァァ!!』
すると空から全長15m程の漆黒のドラゴン、もといネラの母であるシオンが降りて来た。
(全然拳の語り合いじゃねぇぇぇぇぇ!!!)
元々大人しい性格である筈のランヴェであったが、ラズルと関わってしまった事により色々と大きく変わってしまっていた。
(え?!あ、あれドラゴン?!何でそんなもん手懐けてるんですかあの人?!)
「おお...!すっげぇドラゴンだ!!」
「お、お兄ちゃん逃げて!!あんなの勝てっこないよ!!」
「ふふっ....虎日、僕はこういうのを待ってたんだよ!ドラゴンと戦うなんていかにも冒険みたいじゃないか!」
虎日は逃げようと声を掛けるが、龍夜は既に剣を抜いてやる気満々であった。
「行くぞ!うおぉぉぉぉぉ!!!」
龍夜は剣を大きく振りかぶり、全速力でシオンへと向かって行き剣を振り下ろすが....
パキンッ!!
しかし、残酷にもシオンの鱗に当たった剣はあっさりと粉々に砕け散ってしまった。
「なっ....?!」
「ふはははは!その程度か勇者よ!ならば今度はこちらからゆくぞ!!」
「シオン!!『破壊光線』!!!」




