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合同演習[4]

「........へ?」


まだ名前を知ったばかりのほぼ初対面である先輩。そんな先輩に突然同級生であり王族でもあるレギナをぶちのめせというとんでもない目標を掲げさせられようとしたランヴェは、自分が何を言われたのか理解出来ていなかった。


「ん?聞こえなかったか?じゃあもう1度言うぞ。俺と一緒に頑張って、ランヴェ自身の手であの糞ガキをぶちのめそうな!」


しかし、驚く程爽やかな表情から放たれた言葉は勘違いなどではなかった。


「な...な、何て事を言ってるんですか?!レギナ様は王族ですよ?!」


「いや関係無ぇって。殴られたなら殴り返せ」


「そ、そんな無茶苦茶な....」


「まぁ待て待て、確かにあんなんでも一応女だからな、男なら手を上げたくないのは分かる」


「いや問題はそれだけでは....」


「しかーし!ここは学園だ!模擬戦なり何なりする機会もあるだろ?」


「まぁ、それはありますけど....」


「良し、じゃあ正当な理由でぶちのめせるな!」


「だからそういう問題じゃないんですって....」


「他に何の問題がある?」


「まず、レギナ様は王族です....」


「うん」


「それに僕なんかじゃレギナ様には勝てません....」


「うんうん」


「でもやっぱり....」












「いくら模擬戦といえども女の子に手は上げられません....!」


ずっとおどおどとしていたランヴェであったが、その言葉だけにはしっかりとした(しん)が通っていた。


「ふむふむ....成る程成る程。じゃあその3つの問題を俺が全て解決すればあの糞ガキをぶちのめすって事だな!」


....しかし、そんな芯の通った発言もラズルの手によって折られた。


「........へ?」


この先輩は満面の笑みで一体何を言っているのだろうか。先程の「成る程成る程」という発言は一体何を納得しての発言だったのか。


普通は関われば関わる程その人の事を分かっていく筈が、ラズルの場合は関われば関わる程に分からなくなっていた。


「まずあいつが王族という問題。これはさっきも言ったが模擬戦という場では全く意味が無い。遠慮せずぶちのめせ」


「............」


「次にお前があいつに勝てないという問題。おいおいランヴェさんよ....その為に俺が居るんだろ?この1ヶ月間で俺がお前をあいつに勝てるようにしてやるから大丈夫だ。思う存分ぶちのめせ」


「............」


「そして最後にあいつが女だから手を出せないという問題。これに関しては......ちょっと俺に考えがあるから大丈夫だ。(はばか)ることなくぶちのめせ!」


「最後だけとてつもなく不安なのですが....」


「とにかくこれでお前の言う問題とやらは全て解決したから、後は訓練して強くなるだけだ!」


「全然解決してないですよ?!」


「細かい事は気にすんな!それに俺達が自己紹介している間に周りの連中は皆どっか行っちまったぞ?時間は1ヶ月しかない、俺達もあの糞ガキをぶちのめす為にも早く訓練しなくちゃいけないからな」


「ま、取り敢えず話は後にして俺達も行くか!」


「あっ!ちょっ!引っ張らないで下さいよ~?!」


こうしてランヴェは無理矢理ラズルの指導、もとい腹いせに付き合わされるのであった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「えっと....ここは?」


「いやいや、こんなにもご丁寧に〈冒険者ギルド〉と書いてるだろ」


「そ、それは分かるんですが....一体何故ここへ?」


「そんなの強くなる為に決まってんだろ!」


「危ないですって!何で学園の行事で命懸けなきゃいけないんですか?!」


「それも全てはランヴェが勝つ為だ!」


(まぁ実際は俺の小遣い稼ぎでもあるがな!)


「ぼ、僕魔物となんて戦った事ないですよ....」


「安心しろ、もし危なくなっても俺が何とかしてやるから。それに冒険者は何も魔物討伐だけじゃないしな」


「それはそうですけど....」


「この合同演習の間は俺がランヴェに色々と教えなきゃいけないからな。これも教えの内だ」


「わ、分かりました....!僕も頑張ってみます!」


「良し!その意気だ!」


覚悟を決めたランヴェは緊張しながらも冒険者ギルドの中へ入って行くラズルの後を付いて行った。

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