初めての旅立ち[6]
夕食は猪のステーキ、野菜や肉がたっぷりと入ったシチュー、新鮮そうな野菜のサラダ、焼きたてと思われるパンが2つと値段の割にはにはとても豪華な食事だった。
「おばちゃん良いんですか?これ絶対値段と釣り合って無いですよ?」
「良いんだよ、今日は特別大サービスさ!」
「おばちゃん!お代わり!」
「はっはっは、良い食いっぷりだねぇ!男の子はもっと食べなくちゃだからね!」
「ちょっと待ってな!」
おばちゃんが厨房の方へと行ったのを見計らって、ラズルの服の中からネラの顔がひょっこりと出てくる。
「あっ!見ないと思ったらそんな所に居たんですか?!」
「いや、お前がドラゴンは何かヤバいみたいな事言ってたから、見られて騒がれると面倒だから取り敢えず服の中に入ってて貰った」
「キュイイ!」
「分かった分かった、ほれっ飯だぞ~」
「キュイ♪」
ネラはテーブルの下でラズルが残しておいた猪のステーキに飛び付き勢い良く食べ始める。
「ほらっ!お代わり持ってきたよ!」
「おっ、ありがとな!」
「良いんだよ、今日は沢山食べとくれ!」
その後、おばちゃんにバレない様にネラにも夕食を与えながらラズル達も夕食を食べていく。
「ふー、上手かったー!おばちゃんご馳走さん!」
「ご馳走さまです!」
「はい!お粗末さん!」
「こんなに良くして貰ってばかりじゃ悪いので、何か手伝える事はありませんか?」
「...そうだねぇ」
先程までは明るかったおばちゃんの顔が一瞬だけ曇るが、直ぐに先程までの明るい顔へと戻る。
「悪いけど今は特に手伝って欲しい事が無くてね、気持ちだけ受け取っておくよ!」
「あ、強いて言うならいつかまたこの宿に立ち寄って欲しい位かね!」
「勿論です!またこの村の近くに来た時は必ず泊まらせて貰います!」
「嬉しい事言ってくれるねぇ」
「さっ、今日はもう遅いから明日の為にゆっくりと寝な!朝は起こしてやるからね!」
(「じゃあ、頑張りなさいな!」)
(「は...はい//」)
「おばちゃんお休み!」
「お休みなさい!」
「はい、ゆっくりとお休み!」
ラズル達は自分の部屋へと戻り、戻って早速ラズルはベッドへと飛び込む。
「あぁ~、これだよこれ」
「キュイ~」
「じゃ、じゃあ早速寝ましょうか」
「お~、お休み」
「お休みなさい...」
そう言ってから30分、ラズルとネラはぐっすりと眠っている中クイナは1人眠れずにいた。
(もっと..積極的に...)
おばちゃんに言われた言葉が頭から離れず、眠ろうにも眠れなかった。
(いや、でも...)
…………
(ええい!どうせ昼間にあんな事しちゃったんです。何を今さら躊躇ってるんですか!)
意を決したクイナはそろりとラズルのベッドへと近付き、ゆっくりと布団を持ち上げそこに入った。
目の前にはラズルの顔があり、それを見たクイナは顔を真っ赤にさせている。
「はぅぅ...///やっぱり恥ずかし過ぎます....」
そう言ってやはり出ようとすると...
「何をしている」
「え?!」
ラズルの右腕がクイナの身体に覆い被さり、クイナは身動きが取れなくなってしまった。
「ちょ、ちょっとラズルさん!何をしているんですか?!」
「それはこっちの台詞だ。人のベッドに勝手に入り、勝手に出ていくって全くお前は何をしてんだか...」
「ず、ずっと起きてたんですか?」
「いや?起きたのは今だ」
「そ、そうですか...」
「あ、あの私自分のベッドに戻りますのでこの腕何とかしてもらえませんかね///」
「断る」
「....え?」
「前々からお前の耳や尻尾が気持ち良さそうだなぁと思ってたんだ」
「抱き枕には丁度良い」
「えっ、ええぇ?!」
「こっちは寝てる途中で起こされたんだからそれ位良いだろ?」
「俺はまた寝るからお前も早く寝ておけ」
「そ、そんな勝手な...」
「スゥースゥー...」
「寝るの早っ!」
「...本当に勝手なんですから」
クイナは顔をラズルの胸へと沈める。
(良い匂い...)
「だったら私も勝手にさせて貰いますからね」
「お休みなさい、ラズルさん」
部屋には2人と一匹の寝息だけが静かに聞こえていた。




