合同演習[1]
そうして長い夏休みは終わり、再び学園生活が始まろうとしていた。
『もう夏休み終わりかよー』
『早いよねー』
クラスに居る全員が未だ夏休み気分が抜けておらず、気だるそうな雰囲気が漂っている中、とある3人だけは周りとは違った絶望感を漂わせながら話していた。
「....なぁお前ら、この夏休みで彼女出来たか?」
「おっとカバー、この俺を舐めるなよ?俺なんてお袋以外の異性と話してすらいないんだぜ?」
「トンマ....お前もか。それでアホウ、お前はどうだったんだ?...いやすまん、聞くまでもなかったな」
「........ふっふっふ、ふはははは!この俺をお前らの様なモテない男共と一緒にされちゃ困るぜ!」
「「なっ?!ま、まさかお前....」」
「その通り!俺はこの夏休みで1度とある女の子とデートをした!」
「「なっ、なんだってー?!」」
「ど、どうせ兄妹とか従姉妹なんだろ?!」
「生憎俺には女の子の親戚は居ない!」
「アホウ....俺らには本当の事を言って良いんだぞ。親友じゃないか」
「だから本当だって」
「そうか....」
「てめぇ歯ぁ食いしばれやこらぁぁぁ!!」
「ま、待てカバー!トンマの事だからこの先に何かある筈だ!」
「そうだな。続きを聞かせてくれ」
「....それで俺はその女の子ととある喫茶店に行ったんだが....俺の全財産を持っていかれた」
「「ははははは!!心の友よ!!ざまぁみろ!!」」
「うるせぇ糞野郎共!喫茶店があんな高いとは思わなかったんだよ!」
「はははは!そんな高い喫茶店で奢るなんて馬鹿がやる事だろ!」
ピクッ....
「ははっ、そう言ってやるなよカバー!どうせ女の子の前で格好つけたかったんだろ?ま、どの道そんなんで金が無くなるなんて馬鹿だな!」
ピクピクッ....
結婚式の件で疲れ、夏休み最終日は1日中寝ていたラズルがそんな馬鹿3人組の会話を聞いて眉間をピクピクと動かしていた。
「まぁ確かに俺も馬鹿だったと思うけどさ、良い経験にはなったよ。これでもう同じ目には合わないし....流石の俺も2回は引っかからねぇよ」
(あいつら絶対今度の実技授業の時にボコボコにしてやる....!)
夏休み中に同じ過ちを2回犯した男はそう心に誓ったのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
クラス内の至るところから夏休みの話が聞こえる中、いつも通り少し遅れ気味にガウが教室の中へと入って来た。
「おはよう諸君!!3日振りだな!!」
「「「おはようございまーす....」」」
「何だ皆テンション低いな!まぁ仕方ねぇな!」
「そんなテンションの低いお前らに1つ知らせがある!」
「今日から合同演習だ!」
「「「急過ぎません?!?!」」」
その突然の知らせによって眠たそうに机にもたれ掛かっていた生徒達の背筋が伸びた。
「がははは!すまんすまん、合宿とか他の行事で頭がいっぱいで言い忘れてた!」
『合同演習って何ですか?』
「ああ、お前ら2部の生徒が1部の生徒に戦闘について色々と教えようってだけだ」
「因みにお前らが合同演習するのは1部の1年Aクラスな!」
「まぁ詳しく説明すると、まず1人につき1人の生徒に対して1ヶ月間掛けて色々と教えて貰う。何を教えるかはお前らの自由だが関係無い事は教えんなよ?....んで、その後少し面白い事がある」
『先生それは....』
「すまん!もう時間無いからさっさと1部校舎の中庭に向かってくれ!」
そう言い残してガウは教室を急いで出て行った。
(((うわぁ....相変わらず自分勝手)))
生徒達は夏休み前と変わらぬガウの身勝手を早速味あわされながら1部校舎の中庭へと移動した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1部校舎の中庭へ着くと、丁度30人の生徒達のほとんどが地面に座りながらキラキラとした目で見て来た。
「はーい、今日はこうして2部のお兄さんお姉さんが皆さんに色々な事を教えに来てくれました!」
『わーーー!!!』
「では、まずはどのお兄さんお姉さんに教わるか、パートナーを決めるくじ引きをしたいと思います!」
そうして1部の生徒達が順番にくじをひいている中....
「....なあなあ、あの子可愛くね?」
「馬鹿カバー!流石にあの年は不味いだろ!」
「待てよアホウ、もう俺らにはこれしか道は残されていない....!」
「は、早まるなお前らぁぁぁ!!」
尚、この3人のパートナーは全員男子生徒だった模様。




