運命の人[15]
その後ネラと戯れながら10分程待ち、ウェディングドレスから私服へと着替えて来たアリアと共に城下町へと出た。
「えへへ、ラズル君とこうして2人で出掛けるのは初めてですね」
「あー、確かにいつも皆と一緒だったもんな」
「キュイィ!」
そんな2人の会話を聞いていたネラは、自分を忘れるなと言わんばかりにラズルの頭をペチペチと叩いた。
「ふふっ、勿論ネラちゃんの事も忘れてないですよ」
「いや俺の頭の上に居るお前の事忘れてる訳ないだろ....こっちは首が痛ぇっての」
「キュウ♪」
「はいはい、ネラちゃんは軽いですよー」
「....あっ!ラズル君ちょっと寄りたい所があるのですが良いですか?」
「ああ、良いぞ。この間の合宿の件でクイナに小遣いを上げて貰ったからな!今日は俺の奢りだ!」
「え、いえいえ自分の分は払いますよ」
「そういう真面目な所は変わんねぇな....こういう時は素直に奢られてりゃ良いんだよ」
「でも....」
「それ以上駄々をこねるならお父さんもう行きません!」
「ええ?!わ、分かりました奢って貰います!」
「えぇ....はなから自分で払う気がないのは流石にどうかと思うぞ」
「......ラズル君私の事からかってます?」
「ははっ、それでその行きたい所って何処なんだ?」
「もう!ラズル君がそういう事するなら私も遠慮しませんからね!」
「おう!それで良いんだよ!」
ラズルは小遣いが増えた事により自信満々であった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そんなラズルも現在はとある喫茶店の個室でアリアに土下座をしていた。
「....アリアさん...いやアリア様、やはり僕は自分の分は自分で払うべきだと思うんですよね....」
「知りませーん!ラズル君が私の事をからかったりするからこうなるんですぅ~!」
「キュ~」
一方ネラはいつの間にかラズルの頭の上からアリアの膝の上へと移動していた。
「おいネラ!何お前当たり前の様にそっちサイドに居んだよ?!」
「ネラちゃんは私の味方だもんねー?」
「キュウ!」
「....ネラ、悪い事は言わねぇからこっちに来てお前も土下座するんだ!」
「キュ~♪」
「この野郎....!」
「じゃあラズル君、お会計お願いしますね♪」
「俺の小遣いがぁぁぁぁぁ!!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「............」
以前クイナと行った高級な喫茶店で会計を終えたラズルの瞳に光は宿っておらず、それはこの世の終わりを顔で表現しているかの様であった。
「や、やっぱり少しだけでも払いましょうか?」
「いや、元々俺から言った事だ。お前が気にする事じゃねぇよ」
そんなラズルを見て流石にやり過ぎたと感じたアリアはそう提案するが、ラズルは断じてお金を受け取ろうとはしなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
何とか気持ちを切り替えたラズルが今度はアリアの頭の上に乗っているネラとアリアの3人で路地裏を歩いていると、突然いかにも胡散臭そうな店の前で足を止めた。
「ここだ!」
「わぁ...!こんな所にお店があったなんて初めて知りました」
「俺も前に面白そうだったから入ってみたんだが、その時に『呪いの仮面』ってのを見つけたからそれをプレゼントしよう」
「....何かさっきの事もあるので本当に呪われそうですね」
「大丈夫大丈夫。見ての通り安心安全な店だから」
「は、はぁ....」
「ま、とにかく中に入ろうぜ」
そう言ってラズルが店の扉を開けた瞬間....
凄まじい速度で複数の矢が飛んで来た。
「おっと、前より数も速度も上がってるな婆ちゃん!あ、毒も塗ってあるじゃねぇか!」
「ふぇっふぇっふぇ!また止められてしもうたか!」
「「............」」
そんな笑い合う2人を見てアリアとネラは開いた口が塞がらず、ただ唖然として店の外に立ち尽くしていた。




