運命の人[14]
ラズルは欠伸を漏らしながら、久々に人前で泣いた事により疲れてしまい王子様の胸の中で安心して眠っているアリアを抱えたまま、身体を元の大きさに戻したネラの背中に乗って〈カピタール〉へと帰っていた。
「すぅ...すぅ....」
「....ったく、お姫様は随分と良いご身分だな。ふあぁ....こっちも寝てねぇから眠いってのに」
「すぅ...すぅ....」
「....目の前でここまで爆睡されると何か腹立つな」
ラズルは規則正しい寝息を立てているアリアの寝顔を覗き込むと、何かを閃いたのか悪い顔で【収納箱】から何かを取り出そうとした時....
「うへぇ...ラジュル君....」
軽く涎を垂らしながら、普段は絶対に見せない様なだらしない顔をしているアリアが寝言で自分の名前を呼んだ。
「............はぁ」
ラズルはそんなアリアを見てやれやれといった様子で取り出そうとしていた物をしまった。
(こんな時クイナやグラウィスやヤーちゃんだったら間違いなく止めなかったな。特にグラウィス....特にグラウィス!)
今この場に3人が居たらしばらくは文句を言われそうな事を考えると、ラズルも目を閉じながら様々な考え事をし始めた。
(そういや何か最近神力使う事が多いか?...まぁもうどうせルチェにはバレてるし最悪は良いか。うん、楽しければ問題無し!)
(......楽しいか。ははっ、にしてもこの世界は本当に暇しなくて済むな!こんな気分は何千年振り...いや何万か?ま、どっちでも同じか)
(....さて、この楽しい時間が後どれ位続くもんかね)
ラズルは未だスヤスヤと眠り続けるアリアの頭を撫でながら、いつもとは違う少しだけ悲しそうな表情で微笑んだ。
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ネラに乗っている姿を誰かに見られるとまた面倒な事になりそうだった為、ラズルは〈カピタール〉付近で1度降り、ネラに小さくなって貰い頭の上に乗せると、【気配遮断】を使い誰にもバレない様に自分の部屋へと戻ってアリアをベッドの上へゆっくりと降ろした。
「ほーらお姫様、そろそろお目覚めになって下さいねー」
「ん、んぅ...?っ!す、すみません私いつの間にか寝ちゃってました?!」
「おう、王子様の胸の中で涎垂らしながらぶつぶつと寝言呟きながら気持ち良さそうに眠ってたぞ」
「涎ですか?!ちょ、ちょっと待って下さい!//」
涎と聞いて恥ずかしそうに口元を隠しながら慌ててハンカチを取り出そうとするも、ウェディングドレスのまま連れ去られた為ハンカチなど拭けそうな物は入っていなかった。
「ま、もう俺が拭いから無ぇけどな!」
「なっ?!......うぅ...また恥ずかしい所を見られちゃいました///」
「安心しろ!絶対に誰にも言わないから!」
「絶対ですよ?!絶対絶対絶ーっ対皆には言っちゃ駄目ですからね!」
「ははは、分かってるって」
「....そう言えばまだこの格好でしたね//」
ウェディングドレス姿で異性の部屋に居るという中々に恥ずかしい状況に再び顔を赤らめる。
「じゃあ呪いの仮面は着替え終わってから買いに行くか?」
「そのいかにも危なそうな仮面本当に買いに行くんですね....」
「お前が弁償しろって言ったんだろ」
(「........私はどちらかと言うと弁償して貰うより責任を取って欲しいですけどね///」)
「ん?何だ弁償しなくて良いのか?」
「いえ、直ぐに着替えて来るのでここで待ってて下さい」
「おう、まだ時間あるしそんな急がなくても良いからな」
「分かりました」
アリアはベッドから起き上がり自分の部屋へ戻ろうとドアノブを掴もうとしたが、動きを止めると1度振り返った。
「...ラズル君、そう言えばまだ感想を聞いてなかったのですが....似合ってますか?」
「ああ、凄く似合ってるよ。本物の姫みたいに綺麗だ」
「....えへへ//ありがとうございます!」
アリアは感想を聞けて満足し、照れくさそうに部屋を出て行った。
(あれ部屋に戻る途中で誰かに会ったら何て言うつもりなんだ....?)




