初めての旅立ち[5]
待っていて下さった方々、大変お待たせいたしました。今日からまた更新させて頂きます!
ラズル達は早速村へ入るが村には特に目立った物は無く、家や店などが並んだ極普通の村だった。
「随分と何も無ぇ村だな」
「そういう事は村の外で言って下さい!」
「おぉ...!旅の方ですかな?」
2人が村の中へと入ると、真っ白な髭を生やした老人が近付き声を掛けて来た。
「はい、少しお聞きしたい事がありまして」
「爺さん、ここから王都までの行き方知ってるか?」
「王都ですかな?はい、知っておりますとも。もし宜しければお教え致しますぞ」
「お願いします!良かったですね、ラズルさん!」
「ああ」
老人に王都への行き方を教えて貰い、早速出発しようとしたラズルだが老人に呼び止められる。
「お待ち下され旅の方よ。ここは何も無い平凡な村ではございますが2日......いいや、1日でもゆっくりとしていって下され」
「どうしましょうか?ラズルさん」
「うーん、まぁそんな急いでいる訳でも無いしな、じゃあ1日だけ世話になるか」
「おぉ..!では此方に宿が御座いますのでそちらへ案内致しますぞ」
「あぁ、頼む」
「おおっと、ご紹介が遅れましたな。私はこの村の村長をさせてもらっているケインと申します」
「私はクイナです」
「ラズルだ」
ケインに宿へと案内される。
「こちらです」
ケインに紹介して貰った宿はお世辞にも綺麗な宿とは言い難かった。
「随分とボr...?!」
ラズルはクイナに口を塞がれ言い掛けた言葉を止められる。
「すっごく良さそうな宿ですね!」
「ほっほっほ、お気遣いなさらなくても良いですぞ。では、私はこれにて失礼させて頂きます」
ケインが去るのを確認して。
「駄目ですってラズルさん!言葉が直球過ぎます!」
「いや正直な感想を言っただけだ。それにほら、村長も気遣いしなくて良いって言ってたろ?」
「ラズルさんが余りにも正直過ぎるから、村長さんが気を使ってくれたんですよ...」
「そんな事よりほらっ、早く宿に入るぞ」
「もっー!今度から気を付けて下さいよ!」
2人で宿へ入ると、中に居た50代程の女性がこちらに気付き、小走りで近寄ってくる。
「...っ!お客さんかい?」
「あ、はい!一泊だけお願い出来ますか?」
「...この村は中々外から人が来なくてねぇ...久しぶりのお客さんだから少し負けとくよ!」
「本当ですか?ありがとうございます!」
「うちは一泊朝と夕方2食付きで、2つ部屋だと銀貨5枚と大銅貨5枚で、1つ部屋だと銀貨3枚だけれども」
この世界の通貨は価値が低い順に銅貨(10円)、大銅貨(100円)、銀貨(1000円)、大銀貨(10000円)、金貨(100000円)、大金貨(1000000円)となっている。
「今回は2つ部屋で銀貨4枚、1つ部屋で銀貨2枚で良いよ!」
「2人で2つ部屋かい?それともやっぱり1つ部屋かい?」
「え、2人で1つ部屋ってそれって...」
「どうした?俺はどっちでも良いが、余り金に余裕が無いのなら1つ部屋の方が良いんじゃないか?」
「えっ?!いやでも..それは...//」
「ん?何か問題でもあるのか?俺は部屋が狭くなっても問題無いぞ」
「じゃ、じゃあ1つ部屋でお願いします...」
クイナはテーブル上に銀貨を2枚置く。
「ははは!1つ部屋だね!」
「(随分と格好いい彼氏連れてるじゃないか!夜はなるべくで良いから静かにしとくれよ?)」
「(っな!ち、違います!そういうのじゃありませんから!)」
「はははっ、まぁ良いよ」
「ほれっ、これが部屋の鍵だよ。夕食の時間になったら呼びに行くからね!」
「あ、ありがとうございます..」
「...どうした?早く部屋に行くぞ」
「は、はい!」
部屋はそこまで広くは無かったが、2人で使うには十分でベッドが2つあり、服などを入れるタンスなども置いてある。
「ふー、疲れた~」
ラズルはベッドへ飛び込む。
「どうした?早く来いよ」
「.....ラズルさんは大丈夫なんですか?」
「何がだ?」
「それは..私と同じ部屋に泊まる事ですよ!」
「逆に聞くが何かまずいのか?」
「なっ!...いや、そうですよね、ラズルさんですもんね」
「おい、なんだそれは」
「何でもないです!」
「...?変な奴だな」
ラズル達はそれぞれ自分のベッドで夕食まで寝る事にした。
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「スゥースゥー...」
「........」
「もうっ、気にしてる私が馬鹿みたいじゃないですか...」
............
プニッ
「....ん?」
クイナはラズルの頬をつつくがラズルは起きない。
「ふふふっ、こうして見ると本当に弟みたいですね」
「...突然ですが改めてラズルさん、私を助けてくれてありがとうございます。ラズルさんのお陰で毎日が楽しくてしょうがないんです」
「我が儘で、非常識で、意地悪で、強くて、本当は優しくて...そして鈍感で」
「私はそんなラズルさんとこれからもずっと一緒に居たいんです」
「本人の前だと恥ずかしくて言えませんが...私はラズルさんと出会えて本当に良かったです」
チラッ
クイナは扉の方へと視線を移してからラズルへと視線を戻す。
「........」
クイナは少し考えてからラズルの頬へとキスをする。
「...ありがとうございます。ラズルさん」
「おやおや、まあまあ」
扉から先程は無かった小さな隙間から宿屋のおばちゃんが中を覗いていた。
「お、おばちゃん?!え、え、確認したのに....いつからそこに?」
「『私はラズルさんと出会えて~』の辺りからかね」
「うぅ...////」
「大丈夫だよ、彼氏さんには言わないでおくからさ!」
「ほ、本当にお願いしますよ!後、彼氏じゃないです!」
「はっはっは!お嬢ちゃんは可愛いからもっと積極的にいきなさいな!」
「む、無理ですよ」
「何でやらない内から無理だって決めつけるんだい?やってみなきゃ誰にも分からないだろう?」
「そう..ですかね」
「ま!今は深く考えずに後でゆーっくり考えれば良いさ。あんたらは時間がまだまだあるからね」
「...はい」
「ささ、夕飯の時間だよ。そろそろ起こしてやりな。私は先に食堂へ行ってるからね」
「え!もうそんな時間?!」
クイナはラズルを意識し過ぎていた為時間の流れを全く意識していなかった。
「ラズルさん起きて下さい!夕飯の時間ですよ!」
「....んぁ?今日は日曜日だから休みだよ全く..」
「何を訳の分からない事を言ってるんですか?!」
「冗談だよ冗談、ふわぁ..時間の流れは早いなぁ」
「早く食堂へ向かいましょうよ!」
「良し!俺が先に行く!」
「あっ!ちょっと?!」
「....もう、本当にあの人は...待って下さーい!」
呆れながらもクイナは笑顔でラズルの後を追っていく。




