運命の人[7]
新年明けましておめでとう御座います!今年もどうか宜しくお願い致します!
「........何の事ですか?」
「それは自分が1番良く分かってんだろ」
「............」
「ほら、前にクラス対抗戦の時にも言ったろ?『辛いなら誰かを頼れ、助けを求めろ。頼るのが申し訳ないのであれば俺が力になる』って」
いつになく真面目な雰囲気を漂わせるラズルに見つめられ、アリアは1度俯くと何かを決意した表情で見つめ返した。
「......ラズル君」
「おう」
「私そろそろ部屋に戻ります」
「そうかそう....ん?」
「すみません皆さん、合宿の疲れがまだ残っている様なのでお先に失礼します」
「あっ、分かりました!」
「夏休み終わったらまた会おうねー!」
「......はい!では皆さんまた何処かで!」
そう言ってアリアは廊下を歩いて行った。
「............」
先程までの流れを裏切られたラズルは無言でアリアの背中を見送る。
「うわぁ...これ俺滅茶苦茶恥ずかしい思いしただけじゃねぇか....」
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学園を出てそのまま自宅へと帰ったアリアは、食卓にて食事を取っていた。
「............」
「どうしたんだアリア、合宿で何かあったのか?」
「あなた明後日結婚式があるというのに最近元気無いわよ?」
「....いえ、何でも無いです」
「そうか...明後日大切な1人娘が巣立ってしまうと思うと私も胸が痛くなるよ....」
「そうですね...こうして家族皆で食事をするのも明日で最後ですものね....」
2人は微笑みながら娘の成長を喜んでいたが、やはりたった1人の子供が巣立ってしまうという悲しさが表情から読み取れた。
「だがお前が子供の頃から憧れていた王子様との婚約だ。しかも容姿も中身も良い。私達からは何も言う事は無いよ」
「これで〈シュラハト〉とも良い関係が築けますね」
「アリア、明日は朝早くから〈シュラハト〉に向かうからそろそろ寝なさい」
「....はい、お休みなさい。お父様...お母様....」
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自分の部屋へ入ったアリアは直ぐ様きちんと整えられたベッドへと飛び込んだ。
「はぁぁぁぁぁ!!」
ベッドに飛び込んだ瞬間、アリアは広いベッドの上で転がりながら身体をじたばたとさせた。
「見た目も中身も良い王子様だからって....王子様なら誰でも良い訳じゃないです!」
「もっとこう....何か運命的な出会いとかあるでしょう!」
「こういう時に私を攫い出してくれる様な王子様じゃなきゃ駄目なんです!」
「はぁ...結局皆にお別れを言う事も出来ませんでした....折角心配してくれたラズル君にも悪い事をしてしまいましたし....」
(....いや、これで良いんです。王子様なんて絵本の中だけの存在...私もそろそろ覚悟を決めなくてはいけませんね)
今まで秘めていた思いを口に出した事により気持ちの整理がついたのか、乱れた髪やベッドを直して眠りに就いた。
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「おはようアリア、昨日は良く眠れたかい?」
「はいお父様」
「そうか、じゃあ早速〈シュラハト〉へ向かおうか」
アリア達は豪華な馬車へと乗り込み、〈カピタール〉を抜け〈シュラハト〉へと向かって行った。
「ふむふむ....」
誰にも気付かれない様に馬車を引っ張っている馬と並走している怪しい男が1人....
「どうも俺の周りには嘘が下手な奴が多いなぁ」
無論ラズルである。
「それにしてもアリアの奴昨日は随分と暴れてたな...見てはいけないものを見てしまった気分だ....」
「俺らの前でもあれで良いのになぁ」
「ま、お陰であいつの本心も聞けたし良いか」
「それにしても王子様ねぇ....意外と可愛い所があるもんだ。お前らもそう思うだろ?」
『『ブルルルゥゥゥ!!』』
「だよな!あ、人参食うか?」
『『ブルルゥゥ?!?!』』
(何だか人参が浮いている様に見えるが...私は疲れているのであろうか....)
【気配遮断】を使い姿や気配を消していたラズルであったが、御者からは人参だけが浮いているという謎の状況に見えており、逆に不自然な状態となっていた。




