運命の人[2]
「ば、化物っ!!」
思わずいつもの癖で腰に手を伸ばすが、全員武器は宿屋の中に置いて行かされていた為そこにレイピアは無い。
「誰が化物ですか?!私です!クイナですよ!」
「え?!クイナさん?!」
「そうです私です!」
そう言われてみれば確かにクイナの声と似ている。一応警戒しながら良く見てみるが、いつもはモフモフしていた耳や尻尾は悪臭のする液体によってドロドロとしており、顔も良く見えない。
「本当のクイナさんを何処にやったのですか?!」
「ここですよ?!私が正真正銘クイナなんですって!何なら証明してみせます!」
そう言ってアリアに近付こうとするが、クイナが1歩前に進めばアリアは2歩後ろに下がっていた。
「ちょ、ちょっとそれ以上近付かないで頂ければ嬉しいです....あっ!別にクイナさんが臭いとかそういう事は全く........思ってないですよ?」
「........アリアさん、私がこのまま抱き付いたらどうなると思います?」
「待って下さい今水で流しますから!!」
「もうこうなったら道連れです!!」
「【水生成】!!!」
クイナが自分に触れる前に大量の綺麗な水でドロドロとした液体を落とす。しかし、込めた魔力が多過ぎてクイナごと吹き飛ばしてしまった。
「....あっ!すみません!」
「いやー!やっと身体がサッパリしました!ありがとうございます!」
「だ、大丈夫ですか?」
「え?この位ラズルさんに比べたら屁みたいなもんですよ」
「普段ラズル君にどんな扱いを....」
その瞬間、アリアの背後から凄まじい速度で何かが襲い掛かったが、クイナが手を引いて何とか回避する事が出来た。
「っ!!今はそんな事話してる場合じゃないんでした!」
「え?え?今のは何ですか?!」
「アレですアレ!ああいうのを本当の化物って言うんです!」
恐る恐るクイナが指さす方を向くと、身体中にギョロギョロと無数の目玉があり、全身から生えている触手をウネウネと動かしている全長10m程の人型の生物が居た。
グチャ...グチョグチェェ....
「........アレは一体何ですか」
「それ私も前から気になってしょうがないんですよね」
「うっ...!先程から臭っているのはアレですか...早くここから出なくては....」
「あ、そんなアリアさんにお知らせです。何とこの洞窟出口がありません」
「................」
「しかもある程度近付くとアレが攻撃して来ます」
「................」
「なので助けを待つしかないです♪」
「何でそんな冷静なんですか?!」
「まぁ、前に1度これと似たような状況に出会った事があって慣れちゃったんですよね。鼻ももはや何も感じません!」
「機能失い掛けてるじゃないですか?!」
「それに....きっとラズルさんが来てくれると信じているので」
「......ラズル君」
(あれ...?この状況って....)
「ですから今はラズルさんを待ちましょう!」
「そう....ですね!」
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1時間後……
「私達もしかして見捨てられました?!これだけ待っても全然来る気配無いですよ?!ああぁぁぁ誰かぁぁぁ!!」
「ラズル君を信じてるのでは....」
「あの人ならやりかねませんって!」
誰も助けに来ない絶望的な状況。もう助からないかと思ったその時....!
「おいおいクイナ!そいつは聞き捨てならねぇなぁ!!」
「こ、この声は....!」
ズガァァァァァン!!!
「待たせたな!」
無理矢理洞窟に穴を開けて入って来たラズルであった。
(っ!こ、これは....!)
「ラズルさん!私きっと助けに来てくれるって信じて....」
「うわ何これくっさ!おえぇぇぇぇぇ!」
臭いが籠っていた洞窟に無理矢理穴を開けた為、臭いが外へ出ようとしてラズルを襲った。
「「............」」
折角の雰囲気も台無しとなり、先程までキラキラしていた2人の目もどこか死んでいた。
「あー、危ねぇ...臭いに殺されるかと思ったぜ....」
「「............」」
「....待たせたな!」
「いやもうやり直し利きませんからね?!」
(一瞬ラズル君があの絵本の王子様みたいに見えましたが、私の気のせいですね....)
(という事はまだ私はきっと....)




