表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/209

夏祭り[1]

「ん?祭りでそれ以外にする事ってあるのか?」


「....ラズルさん祭りにろくなイメージ無いですね」


「本当に昔に1度行った事があるんだが、その祭りがかなり酷くて祭りにそんな良いイメージが無いんだ」


「そ、そんなに酷かったんですか?」


「ああ....実はその祭りでちょっとした事件が起こってな。祭りって凄い混雑するだろ?それに紛れてすれ違う奴の持ってる荷物全部剥ぎ取って気絶させるっていう(たち)の悪いスリが起こったんだ」


「何ですかそれ!スリをした上に気絶させるなんてそいつ最低じゃないですか?!」


「流石にあれは俺も引いたな」


「え、それでその犯人は捕まったんですか?」


「いや、今もそいつは捕まっていない。というか何ならまた祭りに行こうとしてる」


「まだ捕まって無いなんて怖いです....ね」


まだ犯人が捕まっていないと聞いて夏祭りに行くのが少し怖くなったが、クイナはラズルの発言に違和感を感じた。


「....また祭りに行こうとしてるってどういう事ですか?」


「ん?だって()と夏祭りに行くんだろ?」


「え....そ、それってつまり?」


「まぁ...その...何だ、そのスリ俺なんだよね」


「お巡りさぁぁぁぁぁん!!ここに大悪党が居まぁぁぁぁ....!!」


公共の場で意外と洒落にならない事を叫ぼうとするクイナの背後に即座に回り込むと、片手で口を塞ぎ、もう片方の手で尻尾を軽く握って脅しを掛ける。


「ちっ!何故バレた!小娘、それ以上余計な事言おうとしたらどうなるか分かってんだろうな?」


「ひいぃー....!」












「で、何でそんな事したんですか?」


すると突然2人同時に真顔に戻ると、ラズルも両手を離して今までの(くだり)は無かった事になったかの様に話を戻した。他人が見たらただの情緒不安定(じょうちょふあんてい)な人である。


「いやー!丁度その祭りに行く前に調子に乗って酒を飲み過ぎてついやっちまった!」


「そんな軽いノリでやって良い事じゃないですよ?!」


「酔ってたせいか祭りが楽しかった覚えがあるな」


「祭り要素0の楽しみを覚えないで下さい?!」


「てか酒に関してはお前に言われる筋は無ぇよ!」


「私は他人に迷惑掛けて無いから良いんですぅ~!」


「阿呆!お前あん時俺に凄い迷惑掛けて来ただろうが!」


「ラズルさんになら良いんです!」


「良く無ぇよ?!ちっとは遠慮しろ!」


「それはお互い様ですよね?」


「言われてみれば....」


「「ははははははは!!」」


「前に祭り好きって言ってましたけど、その様子だと本当の祭りの事は良く分かってなさそうですね」


「何か屋台とかが沢山あるってのは分かるが、前は酔ってたから良く覚えてないしな」


「分かりました!ではこの私が()()()()()()()に祭りが本当はどんなものなのか案内して上げます!」


「それは助かるが....結局2人の意味って何なんだ?」


「それは....()()()です♪」


「だからどういう意味だよ....」


「ささっ!そんな事話していると夜になっちゃいますよ!早く()()しに行きましょう!」


「ちょっ....だからどういう意味だよ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


夜に行われる夏祭りに向けて、2人はとある服屋を訪れていた。


「なぁ姉ちゃん、着方ってこれで合ってる?」


そう言って試着室から出て来たのは、無地の黒い浴衣に同じく無地の白い帯を巻いたとてもシンプルな浴衣姿のラズルであった。


「は、はい!と、とてもお似合いです....//」


「おう、ありがとな」


そんな様になっているラズルの笑顔を見て、思わず接客をしていた女性店員のみならず店内に居た全ての女性は赤面しながら見とれていた。


「成る程....動きにくくて戦闘には不向きだが中々良いもんだな」


軽く身体を動かしながら生まれて初めて着る浴衣に興奮していると、今度は隣の試着室からクイナが出て来た。


ラズルのシンプルな浴衣に対して、クイナは白をベースとした生地の所々に花が咲いており、その花の周りを蝶が華麗に舞っているものを赤い帯で巻いている。


しかし、1番目に入って来るのは浴衣ではなかった。


いつもは肩まで下ろしているストレートの髪は、組紐(くみひも)によってうなじの辺りで1つに結ばれており、多少の少女らしさは残っているもののどこか大人の女性の様な落ち着いた魅力があった。


「ラズルさん...ど、どうでしょうか....///」


着ている浴衣とは真逆でクイナの顔はこれでもかと言う程真っ赤に染まっており、チラチラとラズルの目を見るものの、目が合えば直ぐに逸らしている。


「....凄く綺麗だな。浴衣も勿論似合っているが、その髪が何よりも良い」


「...!そ、そうですか?!」


「ああ、いつもはガキにしか見えんが....今は立派な女性に見えるな」


「............」


ガキと聞いて少し落ち込んだが、それよりも初めて自分を真っ正面から『女性』と呼んでくれた事が何よりも嬉しかった。


(......もう、私がドキッとさせようとするといつもこうです)


「ん?どうした?」


「ふふっ、何でも無いです!ほら、早くしないと始まっちゃいますよ!」


「いや、この格好だと動きにくいんだって....」


「じゃあどっちが早く着くか競争ですね!」


「あっ!こら待てお前ズルいぞ!」


どんなに見た目が変わろうとも中身は全く変わらない2人は夜の町を駆ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ