夏休み[24]
「....で、これは一体どういう状況ですか?」
自分達が自ら生み出してしまった悪魔を何とか討伐したクイナとフランは、悪魔から受けたダメージを回復させて目を覚ますと、またもや目の前には地獄が広がっていた。
「あれ、地獄はさっき抜け出した筈なんだけどな」
尚、未だに2名程地獄から脱出出来て居ない者が居たが、全員それほど気にはしていなかった。
「どういう状況って見ての通りだぞ?」
目が覚めるとそこには泡を吹きながら痙攣している漆黒のドラゴン、そんな瀕死のシオンを見て満面の笑みを浮かべるルーちゃん、近くに寄って心配しているアリアとネラとロロとルル、そしてその光景を遠くから死んだ魚の様な虚ろな目で見つめるララ。
「これを見て何を把握しろと?!」
「まぁ取り敢えず今から葬式を挙げるってだけだ」
「....葬式ってあのドラゴンの?」
「因みにあれネラのお袋さんな。ララのシチューを食べたらああなった」
「「お母さぁぁぁん?!?!」」
『か..勝手に殺..ごふぅ...!』
「「お母さぁぁぁん?!?!」」
「いやぁ、あれだけの力を持つドラゴンをここまで瀕死に追いやるとは最早兵器だな。実戦投入したら何百…いや、何千人もの命を奪うかもな」
「良くララさんのお父さん生きてましたね?!」
「ドラゴン並みの生命力って....」
2人が目の前の惨状を見てララの料理?の恐ろしさを脳裏に焼き付けていると、シオンの様子を見ていたロロがラズル達に近付いて来た。
「ラズル~、何とか息を吹き返したよ~」
「おっそうか!そりゃあ良かった!」
「ララは~?」
「今はそっとして上げなさい」
「だね~」
「これでララ姉がもう料理を作らないと言ってくれれば助かるんだけどなぁ」
「寧ろ「もっと上手くなってやる!」って沢山練習するかもな。そしてその練習で生まれた兵器達は....」
「この話はもう止めましょう」
『し、死ぬかと思いました...身体が身の危険を感じて自動的にこの姿にさせられる位は死にそうでしたよ....』
何とか山場は乗り切ったシオンはまだ少し辛そうにしていたが、ドラゴンの回復力は伊達じゃなく、立ち上がれる程には回復していた。
「あ、もうお仕置きは終わったから帰って良いよ」
『恐らくもう2度と会う事は無いと思います。というよりもう会いたくないです』
そんな台詞を残してシオンは翼をはためかせてフラフラと空へと飛び去って行った。
「........じゃあキャンプ続行するか」
「ラズル君、あの2人は大丈夫なのですか?」
「あー、あいつらはもう大丈夫だ。薬を飲ませたから」
「薬?!何で僕達には飲ませてくれなかったのさ!」
「差別です!私達にも優しくして下さい!」
「お前らこんな言葉を知っているか?」
「目には目を歯には歯を」
「いやまぁそれ位は知ってるけど....」
「んで、あいつらに無理矢理食わせたお前らの料理は?」
「強いて言うなら毒物ですかね」
「はっ!ま...まさか...!」
「....寝ている2人にララの料理を食べさせたの?」
「あ....」
「いやぁ...うん、同じ毒物同士打ち消し合ってくれるかなぁと」
「結果はどうなったの?」
「ララの圧倒的勝利だった」
「もう大丈夫ってそういう意味?!」
「じゃあグラウィスさんとヤーさんは....」
「残念ながら....キャンプファイアーで火葬する予定だ」
「「勝手に殺すな!!」」
「もうそのくだり終わったから倒れたフリしてないでさっさと来い」
「「................」」
「じゃあ皆釣りでも行くか!」
「いやー、大変でしたが楽しかったですねー」
「ララ元気出しなよ~」
「兵器....私の料理は兵器....」
「キュウ♪」
「「................」」
「....俺達って一体何なんでしょうね」
「....さぁの」
1人を除いて何事も無かったかの様に楽しそうに釣りへ向かおうとする仲間達を見て、自分達は一体どういう存在なのか疑問に思った2人であった。
「おーい!お前らも早く来いよー!誰が1番でかい魚釣れるか勝負したかったんだよー!」
「「っ!!」」
「俺村で釣りは1番上手かったんで負けませんよー!」
「妾に掛かれば大きな魚なんぞ一瞬で釣れるのじゃ!」
結局そんな疑問の答えは直ぐに出た2人は和気あいあいと仲間達の後を追って行く。
(いや、今回はマジでヤバかったな)
(俺が途中で腹に入ったララの料理を破壊していなかったらあの3人は今頃....)
(試しに俺も食ってみたが、まさか神力を解放した俺に多少なりともダメージを与えてくるとは兵器の次元を越えてるな)
(...ん?じゃああの料理を素で耐え抜いた親父さんは一体....?)
(いや、深く考えるのは止めよう。思い出したくない)
皆で楽しく釣りをしている最中に珍しく今回の件を反省しているラズルであった。




