夏休み[22]
「早速食べて貰いたい所ではあるが、まだもう1つ良い知らせがあるんだよ」
「....良い知らせ~?」
「おう、とは言ってもロロにじゃ無いけどな」
「おーい、そこでほっとしている準優勝者さーん?」
「...え?!な、何でしょうか....?」
「優勝者には優勝商品、ならば準優勝者には?」
「いえ、こういうのは優勝した方のみが....」
「そうだね準優勝商品だね!」
「............」
準優勝者さんもといアリアは、自分は大丈夫だと安心していた所に唐突な死刑宣告を受け、血の気が引いて顔面蒼白であった。
「ち、因みに商品は何でしょうか?」
「それは勿論ララの手作り料理!」
「っ?!」
「....と、言いたい所なんだがやっぱそれは優勝者だけの特権だからな。準優勝者には俺が作った料理を食べて貰う」
「ありがとうございます!」
自分が食べるのがララが生み出した殺戮兵器ではなくラズルが作った料理だと分かって顔に血の気が戻り、思わず頭を下げて礼を言う。
「いやー、俺も前に来た時に色々な食材を採ってな?それの使い道に困ってたから丁度良かったぜ!」
そう言ってラズルが取り出したのは一見普通に見える色とりどりなサラダであった。
「わぁ...!美味しそうですね」
「まずは準優勝者から食べて貰おうか」
「では早速....」
「おっと待て待て、それまだ完成じゃないんだよ」
「え?そうなのですか?」
「お前キノコ大丈夫?」
「はい」
「おー、そりゃ良かった。こいつが無きゃこの料理は完成じゃないからな!」
するとラズルは待ってましたと言わんばかりに白い斑点がぼつぼつと付いた赤いキノコを取り出すと、食べやすい大きさに切ってサラダへと盛り付けた。
「御上がりよ!」
「いや、少し待って下さい」
「ん?どうした?」
「このキノコどう見ても食べられそうに無いのですが....」
「アリア、お前分かってないな~」
「キノコって毒があった方が美味いらしいぞ?」
「毒があるんじゃないですか!」
「冗談だよ冗談。流石にそんな物食べさせないって」
「....なら良いのですが」
「ほらっ、あーん」
「えぇ?!....あ、あーん」
ラズルがフォークに刺した赤いキノコをアリアの口元へ持っていくと、少し躊躇いはしたものの素直に受け入れた。
「....っっ?!」
キノコを口の中に入れた瞬間、アリアは言葉にならない叫びを上げながらもがくとそのまま気を失った。
「あー、やっぱり駄目だったか」
「いや駄目だったかじゃねぇよ?!大丈夫なのか?!」
「いやだから流石に毒が無い事は確認済みだって」
「いや...アリアお亡くなりになってるけど」
「勝手に殺さないでやってくれよ。あれはただキノコが不味過ぎただけだ」
「「不味さだけで失神?!」」
「よっこらせっ...と」
気を失ったアリアを未だに倒れているクイナ達の下へとそっと運ぶ。
「良し、次はロロの番だな!」
「良くもそんな笑顔で言えるよね~」
「もしかしたら今回は美味いかもしれないぞ?」
「私の場合失神じゃ済まないからそんな危険な賭け出来ないよ~」
「でもほら....ララ一生懸命作ってたからさ」
「................」
その言葉を聞いて覚悟を決めたのかスプーンでシチューらしき物をすくい上げ、そして....
「....っっ?!ルーちゃん防げ!!!」
「畏まりました」
食べようとしたその時、ラズル達5人を包み込む程の規模の白い光線が飛んで来たが、それをルーちゃんが消滅させる。
「な、何?!」
「...ルーちゃん、3人を気絶させてあいつらの近くに」
ラズルの命令に従いルーちゃんはララ、ロロ、ルルの意識を一瞬の内に刈り取るとクイナ達の下へと運ぶ。
そして神力を解放して全員を覆う結界を張る。
『ほぅ...下等生物が良くあれを防ぎましたね』
現れたのは漆黒の鱗に2本の黄金の角、そして赤い瞳を持つ全長15m程の巨大な漆黒のドラゴンであった。
「おいお前急に何す....」
「ラズル様の1番の剣であるこの私に下等生物....だと?」
ドラゴンに対して文句を言おうとした時、隣からそんな言葉が聞こえて来た為そっと振り向いてみると、そこには普段凛としている姿からは想像出来ない程の怒りに染まったルーちゃんが拳を握り締めていた。
「あ...これやべぇ」




