夏休み[21]
クイナがテーブルの上に並べたのはただ子豚を丸焼きにしただけの様に見える単純な料理であった。
対するフランは色とりどりな植物、肉、魚など森で採れる食材を全て使ったかの様な豪勢なパエリアだった。
「フラン、この米はどうやって作ったんだ?」
「それは森に生えてた小麦みたいなやつを磨り潰して粉にしてから水を混ぜて練った後に1つ1つ千切って茹でたんだよ!」
「凄ぇ根性だな....」
「えへへ//勝ちたいからね!」
そう言うとフランは少し恥ずかしそうにはにかみながら白い粉の付いた手で頭を掻く。
「そんでクイナ、これには一体何があるんだ?」
「おっ!流石ラズルさん!それがただの豚の丸焼きじゃない事を見破るとは....」
「逆にこれだけ時間を掛けてただの豚の丸焼きだったらキレるわ」
「ふっふっふ、では皆さんそのナイフで豚の背中を切ってみて下さい!」
ネラ以外の審査員は言われた通りに豚の背中にナイフを通し、ネラの分はラズルが切った。
「おお....!これは凄いな」
背中に入った切り込みを広げてみると、中にはなんとフラン同様に森で採れた様々食材と米が入っていた。
「因みにこの米はどうやって作ったんだ?」
「それは森に生えてた小麦みたいなやつを練って千切りました!」
「お前らの根性どうなってんだよ?!」
「「えへへ//」」
良く見ると2人の手や頭には所々白い粉が付いており、その作業にどれだけの時間を掛けたかを物語っていた。
「いやーでもフランさんの料理を見た時は驚きましたよ。まさか私と同じチネラーが居るとは....」
「ふっふっふ、そっちこそ中々のチネり具合だね!」
「おい待てチネラーってなんだ」
「「ちぎってねって米を作り出す職人....それがチネラー!!」」
「お、おう」
「さぁ!私達が制限時間のほとんどを使ったチネり米!」
「とくと味わってね!」
審査員はクイナかフランの料理の内、それぞれ先に食べたい物を口の中へと運んだ。
「「「「「「なっ....!こ、これは?!」」」」」」
「キュ....キュウ?!」
「「さぁ!チネり米の感想は?!」」
「「「「「「何これまっず....」」」」」」
「キュエェ....」
「「ええぇぇぇ?!」」
審査員満場一致の判決であった。
「え?!何でですか?!チネり米ですよ?!」
「そうだよ!それにネラ今まで聞いた事の無い声出したでしょ?!」
「いや...流石にこれはキツい」
「....鈍、私はもう満腹ですので特別に残りはあなたに上げます」
「ルー様?!好き嫌いは良く無いのじゃ!」
「い、いや、食べれない事は無い...ですよ?」
「う、うん。そう...だね」
「ララ姉、残り食べてくれ」
「キュエェ....」
「そ、そんな....」
「僕達のあの時間は一体....」
結果2人の料理は作った本人と、何故か強制的に巻き込まれたグラウィスとヤーちゃんが残さず美味しく頂いた。
その光景を見ていた審査員ではないアリアとロロは、ライバルが減った事よりも2人の料理を食べずに済んだ事の喜びの方が大きかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「「「「................」」」」
「ありゃりゃ、ただの屍だなこりゃ」
「今はそっとしておいて上げよう」
「ああ、それよりも結果発表だな」
「わくわく~」
「き、緊張します...!」
「審査員が2人程お亡くなりになったから俺達5人で多数決だ」
「じゃあいくぞ?せーのっ....」
ラズル、ルーちゃんはアリアへ。
ララ、ルル、ネラはロロへ指を向けていた。
「いえ~い!」
「残念です....」
「おめでとうございまーす!見事優勝されたロロさんには豪華なプレゼントでーす!」
「よっしゃ~!....ん~?」
普段気の抜けた様な表情なロロが優勝した事により嬉しそうな表情となっていたが、ラズルが【収納箱】から取り出した優勝商品を見た瞬間、元の気の抜けた様な表情を通り越して真顔となった。
何故なら優勝商品と呼ばれた見覚えのあるソレはかつて父を死の寸前まで追いやった禍々しい物体であった。
「........ラズル、これ優勝商品~?」
「ああ!ララが心を込めて作ったシチューだ!」
「アリアの料理と被っちゃってごめんね?」
「私の料理と...被っている....?」
「........殺傷商品の間違いじゃない~?」
「はっはっは!....ご冗談を」
「....え、食べるって事~?」
「勿論!優勝されたのですから!」
「それマジで言ってる?」
「ロロさんキャラ気を付けて」




