初めての旅立ち[2]
王都へと向かい始めた途中、ラズルはクイナに他の種類の魔法について教えて貰っていた。
魔法の種類は、【火】、【水】、【地】、【風】、【雷】、【光】、【闇】、【無】の8種類である。人にはそれぞれの魔法の種類に対する適正があるが、適正が無い魔法が使えないという訳では無く、適正を持つ魔法は威力や消費魔力が他と比べ優れている。
全ての種類を試したみた所、ラズルには『火』、『雷』、『闇』、『無』の4種類に適正があり、クイナには『水』、『光』、『無』の3種類に適正があるそうだった。
中には8種類全てに適正を持つ者もごく稀に存在する。ラズルの適正の数は中の上といった所で、クイナは中の中と平均的である。
「こんなにも種類があるんだなぁ、色々と出来そうで面白そうだ!」
「私はそれよりも気になる事があります...」
「何でもう無詠唱で魔法が使えるんですか!」
実際ラズルは洞窟での一件の最後に無詠唱で【付与魔法】を使っていたのだが、【付与魔法】そのものが気になり過ぎて無詠唱で使っていた事に気付いていなかった。
「いや、前に言ったろ?何となく身体の中の魔力を感じ取れたから無詠唱でいけそうだって」
「にしても早すぎますって!」
「いや、出来るもんは出来るんだから仕方ねぇし、何も悪い事はしてねぇだろ!」
「確かに悪い事ではありませんが...もう少し自重して下さい!」
「自重....?」
「やっぱもう良いです...」
「あ、そうそう俺もっと気になる事があるんだよ」
「確かお前が王都まで案内するって言った時、まず森を出るのに1時間位だって言ったよな?」
「はい」
「ところがどっこい3時間経っても出口は一向に見えません」
「..........」
「まさかとは思うが道に迷ったなんて事は無いよな?」
ラズル達は森の中で迷っていた。
「えーっと、そのぉ...えへへ」
「何が「えへへ」だこのボケ!お前が道案内するってあんな自信満々に言うから任せたんだろうが!」
「だって仕方無いじゃないじゃないですか!私も村から離れた事なんてほとんど無いんですから!」
「だったらあんな自信満々に案内するなんて言うんじゃねぇ!てか、自分が住んでる森の事位覚えとけっての!」
「うぅぅ...」
「....はぁ、まぁ迷っちまったもんは仕方ねぇ、取り敢えず今日はもう暗いからここらで1泊するぞ」
「すみません...」
クイナの耳と尻尾がしゅんとなる。
「まぁそんな気にすんな、良いじゃねぇか旅が長くなって楽しい事も増えるかもしんねぇしな」
「そう...ですね」
「それにしても寝所はどうしたもんかね」
「あ、寝所だったら取り敢えず動物か何かの毛皮を敷いて、その上からも毛皮を掛けたら大丈夫だと思います」
「お、だったら丁度良いものがあるぞ。ほれっバトルウルフの死体」
「成る程!バトルウルフから毛皮を取ってそれを敷いて掛けると言う訳ですね!」
「そういう事だ」
二人で4体のバトルウルフから毛皮を剥ぎ取り、近くにあった川で毛皮を軽く洗う。
寝るまでは毛皮を乾かすため干しておき、その間に火を起こして食事の準備をする。
「【炎】」
ラズルが火を起こし、その間にクイナが毛皮を剥いだバトルウルフの肉を切り分ける。
「後は焼くだけだな」
「バトルウルフなんて初めて食べますよ!」
適当に作った串に肉を刺し、しっかりと火を通していく。
「おぉ!美味そうじゃねぇか!」
「確かに美味しそうですね!」
「じゃ早速...」
「「頂きます!!」」
バトルウルフの肉は脂が少なく少し固かったが、しっかりとした歯応えがあり、噛めば噛むほど肉汁が溢れ出てくる。
「美味ぇ!」
「とても美味しいです!」
暫く2人は夢中で食べ続け、気が付くと4体分のバトルウルフは残り1体となっていた。
その1体はラズルが【収納箱】へと保管した。
「腹も一杯になったしそろそろ寝るか」
「ふわぁぁ...そうですね..」
クイナは眠そうに目を擦っている。
(今日はこいつも色々と頑張ったからな、疲れているんだろう)
「じゃあ、そろそろ乾いただろうし毛皮を敷くか」
「あ、クイナお前の分も敷いといてやるからそこで待っとけ」
「えっ?!」
「何をそんな驚いている?」
「ラズルさん...屋根がある所に移動した方が良いかもです」
「何故だ?」
「ラズルさんがそんな事を言うという事はきっと明日は大雨です...」
「お前の中で俺はどうなってんだ?」
「ほら、敷いてやったから馬鹿な事言ってないでさっさと寝ろ。明日こそはこの森を抜けるぞ」
「はぁい..ラズルさんお休みなさぃ....」
クイナは直ぐに寝てしまった。余程疲れが貯まっていたのだろう。
「しっかりと毛皮を掛けてから寝ろっての...」
ラズルはクイナにそっと毛皮を掛け、少し考えた後にクイナの頭を撫でた。
その後ラズルも自分の寝所の準備をして、安全確保の為周りにほんの少しだけ神力を使った結界を張る。
「さてと、俺も寝るか」
こうしてとても内容の濃かった1日が終わっていくのであった。




