夏休み[16]
王都観光からおよそ1週間と少しが経ち、早くも夏休みの1ヶ月が終わった頃、ラズルとクイナは再び例の噴水で待ち合わせをしていた。
「あいつら早く来ねぇかなぁ」
「いや、流石にまだ来ませんよ。だって....」
「まだ待ち合わせの時間の2時間前ですもん」
「やっぱり少し早かったか?」
「だから早いってレベルじゃ無いですからね?!」
「えー、前回お前にあれだけ言われたからその反省を生かして今回は1時間も遅めに来たんだぞ?」
「ラズルさん反省って言葉の意味知ってます?」
「仕方無ぇだろ」
「はぁ...また楽しみで眠れなかったんですか?」
「いや時計が壊れてて単純に早く着き過ぎただけ」
「ぶっ飛ばしますよ?!」
「やっぱ安過ぎると駄目だな。直ぐに壊れてまた買う羽目になるから時間も金も無駄になるし、いやー反省反省」
「その反省恐らく全く生かされる事が無いので気を付けた方が良いですね」
「だって目が覚めたら待ち合わせの時間の30分前だったんだぞ?そりゃ焦るだろ」
「そんな焦っている状況で何故私を起こしに来るという選択肢が生まれたのかが聞きたいです」
「......使命感?」
「こっちが聞きたいですよ?!」
「あれ、そう言えばネラちゃんやルーさんやヤーさんは来ないんですか?」
「ネラは前回と同じでまだ寝てる。ルーちゃんとヤーちゃんはちょっとうるさかったから【収納箱】の中にぶち込んだ」
「....前から聞きたかったんですけどその中って一体どうなってるんですか?」
「ルーちゃんが言うには真っ暗で色々な物が散乱してるけど無駄に広い空間らしいぞ」
「何ですかそれ居心地悪っ!!」
その後もそんないつものやり取りを約2時間も続けるという、もはや神業とも言える暇潰しで集合時間まで持ちこたえたのであった。
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そして待ち合わせの時間に近付くにつれてアリア、グラウィス、フランの順で到着した。
「あれ?何か見覚えのある光景だね」
「確かに....そろそろ待ち合わせの時間ですけれどまだララさんとロロさんが来ていませんね」
「また分身の術でも使って来るんじゃねぇの?」
「そこまで同じだったら何かありそうで怖いですね....」
「おっ、そんな事言ってたら来たみたいですよ」
「....何人来た?」
「....4人ですね」
「流石にそうですよね~」
「..........ん?4人?あれ?」
「ごめーん!遅れちゃった!」
「またトラブルがあってさ~」
「あっ!ラズルー!」
ララ、ロロ、ルル、そして3人を追い掛ける母。ラズル達は完全に前回と同じ光景を見せられていた。
1つ違う点は以前はラズルを睨み付けていたルルが、ラズルを見つけた瞬間笑顔になった事だった。
「ラズルさん。だろ?!」
そんな笑顔の息子の頭に母の容赦無い拳が振り下ろされた。
「ってぇ!何すんだよ母ちゃん!」
「またまたこの馬鹿息子がごめんなさいねぇ?ララとロロが皆でキャンプに行くんだって言ったらこの子も行きたいとか言い出してねぇ....」
「ん?何だルルお前も行きたいのか?」
「ああ!折角の夏休みなんだし俺も連れてってくれよ!」
「許可する!」
「よっしゃぁ!じゃ、母ちゃんそう言う事だから」
「何がそう言う事だい!....でも本当に良いのかい?間違い無く皆さんにご迷惑を掛けるよ?」
「全然大丈夫ですよ!こう言うのは大勢で行った方が楽しいですし!」
「ルル君の面倒は私達が見させて頂きますのでご安心を」
「折角の夏休みなのに、こんなんの子守りさせる事になっちゃって本当にごめんねぇ」
「いえいえ気にしないで下さい!僕1人っ子だから弟か妹が欲しいと思ってたんですよ!」
「そうかい?そう言ってくれると助かるよ!」
「ルルッ!お前皆さんにご迷惑をお掛けしたらただじゃおかないからね!」
「分ーってるって!」
「じゃあ皆さん、どうか宜しくお願いします」
「おう!」
ルルの母は心配そうな表情のまま帰って行った。
「なあなあラズル!キャンプってこれから何処に行くんだ?!」
「あ、そうそうまだ皆にも言って無かったんだが、このキャンプ2拍3日の予定だろ?まぁキャンプだから当然森に行く訳だが、その森に行く途中でちょっとだけとある村に寄らせて欲しいんだが良いか?」
「村?勿論良いよ!」
「一応準備は整えて来ましたが、他に必要な物があるかもしれませんしね」
「私達も勿論良いよ!」
「ありがとな。じゃあ皆揃った事だしそろそろ行くとするか!」
『おー!』




