夏休み[11]
「ルーちゃんご苦労!」
「...ラズル様、私汚されちゃいました....」
「誤解を招く言い方をするな!お前さんが儂に絶対に触られたく無いって言うから、何回も手を洗って手袋も何重にしたと思ってんだ?!」
「....だって手袋に手汗とか染み込んでいそうではありませんか」
「そこまで嫌か?!流石に傷付くぞ?!」
「ルーちゃん、その会話お袋さんに聞かれたら親父さん髪の毛だけじゃなく命まで散っちゃうからそこら辺にしてやりなさい」
「分かりました!」
「なぁなぁ父ちゃん!それでどうだったんだ?!」
ルルはルーちゃんがラズルの1番の剣と聞き、クイナの反応も見て一体どれ程凄い剣なのか期待を膨らませていた。
「................」
「父ちゃん早く教えてくれよ!」
「........ねぇ」
「ん?」
「....分からねぇんだ」
「「「え?!」」」
親父さんの発言にララ、ロロ、ルルの3人は大きな衝撃を受ける。
「え、お父さんちゃんと見せて貰ったの?」
「....ああ。何度も見せて貰ったがちっとも分からねぇんだ........」
「お父さんは【武器鑑定】って言う武器を見ただけでそれがどんな武器なのか分かるスキルを持ってるんだけどね~?そのお父さんがルーちゃんを見て何も分からないって事はルーちゃん相当凄いね~」
「ふっふっふ、なんたって私はラズル様の1番の剣ですから!」
ルーちゃんは自分の力を誉められた事に気を良くし、豊満な胸を張った。その動きによって2つの山が上下に激しく揺れた。
「「..........」」
尚、その際にその光景を見たとある狐娘と大貴族は、自分達の丘とルーちゃんの山を見比べた後に何かを悟った様な、そして酷く悲しそうな顔をしていた。
「凄っげぇ!ラズル!これから行くって言ってた試し斬り俺も見に行っても良いか?!そこでどんな力を持つのか見せてくれよ!」
「見に来るのは別に構わんが、ルーちゃんは危険過ぎるから振らないぞ?」
「振っただけであのラズルさんが危険だと言う剣って一体....」
「頼む!少しだけ!少しだけで良いから!」
「うーん....良し分かった。じゃあ見たい奴はちょっと店の外に出てくれ」
「やったぁ!ラズルありがとな!」
ルルはあまりに嬉しくて跳び跳ねながら喜んでいた。その後ろで親父さんの目も心なしか子供の様にキラキラと輝いている。
結果、ルーちゃんがどんな力を持っているのかは全員が気になっており、その場に居た全員が店の外へと出た。
「じゃあルーちゃん........分かってるな?」
「はい!お任せ下さい!」
ルーちゃんが剣の状態になり、ラズルはルーちゃんを右手で持つと....
「はい親父さん」
そのまま親父さんへと渡した。
「ん?お、おう」
『ちょっとラズル様ぁぁぁ?!』
「いやだって俺が振るより被害抑えられるしさ」
『だからと言って何故この男なのですか?!もっと他に良い人が居たでしょう?!』
「全くわがままだなぁ」
「あっ....」
ラズルは親父さんからルーちゃんを返して貰うと、今度はルルにルーちゃんを持たせた。すると親父さんの生き生きとしていた目は生気を失った。
「そんなに俺は汚いのか....だから最近娘や嫁も......」
親父さんがぶつぶつと何かを言っていたが、全員そんな事には全く興味が無く、視線はルーちゃんに釘付けであった。
「凄ぇ....手にしっくりくる」
「ルーちゃんは持った人に合わせて振り心地なんかを変えるからな」
「そんな力あんのか?!すっげぇ!」
「じゃあルル、ルーちゃんを空に向かって軽く振ってくれ。ほんっとに軽くで良いからな?絶対に本気で振ったり空以外にルーちゃんを向けたりするなよ?!洒落になんねぇからな?!」
「わ、分かったよ」
「じゃあ本当に軽く振るからな?」
ルルがルーちゃんを振りかぶり、そのままラズルに言われた通りに空に向かって軽く振った。
その瞬間、ルーちゃんから何かが放たれ、空にあった雲の塊を見事真っ二つに斬り、空に青い道が出来たのであった。
『................』
もうここまで来ると人間言葉が出なくなり、顔も全く変わらない様だ。
「ルーちゃん......」
『はい!』
「ちゃんと手加減出来るじゃねぇか!」
『ありがとうございます!』
『いやいや出来てない出来てない』
「ラズル....これ早く取ってくれ」
ルルはルーちゃんを汚い雑巾を持つかの様に摘まみ、そっとラズルへと押し付けた。
『....少年、人?をそんな汚物の様に扱うのはどうかと思います』
親父さんは全力で「お前が言うな!」と言ってやりたかったが、目の前でルーちゃんの力の一端を見てしまった為何も言えなかった。
「ルーちゃんもう戻って良いぞ」
『分かりました』
ルーちゃんは人型に戻ると、直ぐ様ラズルの元へとすり寄った。
「と、うちのルーちゃんはこんな感じだ」
『2度と使わないで下さい』
ラズル以外の全員が未だに真顔でそう懇願したのであった。




