プロローグ
西暦3000年。極限的な技術進歩の中によって人々はすべてのインフラ要求を満たし、残された時間の中で彼らはあらゆるコミュニケーション手段によってその超越的な欲求を満たしていた。
それは「総合型人間調査」を合格した者のみに許された権利であった。その合格率は66.6%。決して低い数値ではなかった。しかし、その合格基準に満たなかった人類は「精神病」として3段階に分類された後でそれ相応の待遇が許されていた。
最も軽度な者は「準」、中度は「亜」、そして「劣」である。
総合型人間調査が間違いを犯すと考えられるのは全人類の中でも0.0000000001%とされている。もっとも、この調査は非常に精巧な人工知能によるテストであり、この人工知能を上回る思考によって私たちは初めて適格とされるので間違いを犯すのはどちらかというと人間側の方であった。
コナーはその調査によって「劣」と診断されていた。その診断を受けた人々には福利厚生として国立の寮が設けられており、そこに住むことが勧められていた。
コナーはある日、寮の友人であるブランとユキに提案を持ちかける。
それは総合型人間調査をぶっ壊すというものだった。