初めまして、失恋神様
突然ですが、彼女ができました。
中肉中背、黒髪サラサラヘアー、笑顔が眩しい俺の恋人。
ああ、田舎で俺の帰りを待っているお父さん、お母さん。俺を生んでくれてありがとう。こんな地味な男に育ってしまいましたが、こんな俺にも可愛い可愛い彼女が出来ました。今、生きるのがとてつもなく楽しいです。ルンルンです。
しかもなんと、告白はあちらから。
俺からではない、彼女からだ。
俺は全国の非リア充にドヤ顔で見下せる超モテ男リア充になったのだ。
ああ〜！今日はスキップをして帰りたい気分だ！
現在大通りにいるが、そんなものは関係ない！
スキップしてしまおう！
「わーい！！ぐふっ」
「やかましいわぁぁぁ！！」
こんなルンルンで痛いことも悲しいことも何もないはずなのに誰かに殴られた気がする。腹パンされた気がする。
いや、腹パンされたわ。
「いってぇ！何するんだ！」
「何するんだ、じゃねぇ！うるせぇ！超うるせぇ！他の人に迷惑だろうが！」
見上げた先にはコスプレじみた服を着た痴女。
俺は睨みながらはっきりと言い放ってやった。
「お前みたいな貧乳痴女が歩いてる方が迷惑だわ！捕まれ！捕まってしまえ！」
「んなっ、痴女は認めるが貧乳は認めん！」
「痴女ってわかってるならその格好やめろ！」
取り敢えず両者とも変質者を見るような目で見られていたので路地裏へ。
痴女と路地裏に入る時点で変質者である。
「お前、彼女が出来たんだろう」
少し長い沈黙の後、痴女は口を開いた。
何故知ってるんだと疑問に思ったが、俺は彼女が出来たことの喜びを思い出し口角をあげた。
「今日の放課後にな〜、羨ましいだろ」
「腹がたつ」
「羨ましいんだな！お前その様子じゃ彼氏居ないんだろ！」
「か、神に彼氏などいらんわ！」
…神？
こいつ痴女、貧乳、痛い子という三拍子揃えた変態なのか？
「痛い子ではない、あと貧乳を変態と結びつけるな。全国の貧乳に謝れクソが」
「お前神設定貫き通すならクソがとか言うなよな〜」
「設定ではない！私を侮辱しおって…！」
痛い子が仁王立ちすると、涙目で頬を膨らませながら俺を見つめた。
あ、なんだ、顔は可愛いほうじゃん。と思っていると、痛い子は「私は失恋の神だ」と言い放った。
…はぁ？
「何だそれ」
「そのままの意味だ」
「戦いの神とかかっこいいのにしなくていいのか？」
「だから設定ではない！」
「はいはい。これ以上お前と話してると変態がうつりそうだから帰るな〜」
「クソ…もう我慢の限界だ！お前から彼女を消してやる！」
俺は驚いて、帰ろうとした足を止めて振り返ると、目の前が真っ白になったのであった。
口汚い失恋神と口汚い男子高校生の日常。
俺くん(名前未定)は黒髪黒目中肉中背の男子高校生です
