油断した隙に美味しく頂かれました。
暇すぎて倒れそうなぐらい暇な時に、読んでください…
「あああああっ!!あやちゃん!」
お風呂上がりのアイスを堪能していたら、顔を真っ赤に染め上げ あわあわしてる乙女に睨まれた。
「なんだ、北三郎。」
「もうっ。そう呼ばないで!きぃちゃんって呼んでよぉ!」
頬を膨らませ、プンプンと自らの口で効果音をつける自称花の乙女 北三郎。26歳。同居中の私、21歳大学生の彼氏である。
「きぃちゃんは、きぃきぃうるさいでちゅね。」
「きぃ〜っなによぅ!って、そうじゃなくって!なによ、その格好!」
愛しのきぃちゃんは私の格好が気に入らないらしい。
だが、しかし。今日は暑すぎてパジャマを着る気になれなかったのだ。なので、きぃちゃんのTシャツをワンピースのようにして着ているのは許してほしい。
「だって、あっついんだもん!これ、可愛いね。」
「でしょう!でも、あやちゃんにはちょっと大きいんじゃないかしら?でも、ゆったり着れて、これはこれで可愛らしいわ〜。じゃなくって!!!!」
可愛いもの大好き きぃちゃんには、可愛いと言っとけば終わると思ったのに、今日は何だかしぶとい。
あげくブツブツ言い始めたきぃちゃんを横目に、放置を決めた私は 少し溶け始めたアイスを再び食べ始めた。
「そうよね、あやちゃんが悪いわよね…知らないわよ…あたしだって男なんだから…それなのに、あやちゃんったら………」
「……」
危険な香りが立ち込めてきたので、丁度アイスを食べ終わった私は逃げるようにキッチンへと行った……と言いたいところだが、行けなかった。
ブツブツタイムが終わったらしいきぃちゃんが、なんともいい笑顔で私を見つめていた。
「ねぇ、あやちゃん。あたし達ってどんな関係かしら?」
「…?恋人じゃない。」
「そうよね、恋人よね。あやちゃん、あたしの生物学上性別って?」
「生物学上?…男の子じゃない?」
「そうよねぇ。あたし達恋人で、男と女なんだもの。あたしがあやちゃんにトキメクのも、当たり前よね?」
「え?う、うん…」
「ふふふ、可愛いあやちゃん。……そして、おバカなあやちゃん!あたしだって男なんだから、欲情するわよ。」
「え、よ、よく………よくじょう…。」
「そう、ムラッとね。」
「むむむむむむむらっ………。」
ボンッと顔に熱が集まるのが自分でも分かるくらいに、身体が火照っている。
ぇあ…だの あぅ… と言葉にならない音が口から漏れる。
「おいで、あや。」
目線を恐る恐るあげれば、そこには目をギラギラとさせた猛獣のようなきぃちゃんがいた。
森の中で熊に出会ったかのように、目も指先すらも動かせない。煩悩が告げている。アブナイ、キケン。
「あや。あーや。…しょうがないなぁ。」
何がしょうがないというのか。
男くさく笑ったきぃちゃんは、動けない私の側までくると、腕をグイッと引っ張った。
驚く暇もなく 密着させられ、ソファーの上に座ったきぃちゃんの膝の上にまたぐように座らせられる。
左手で私の腰を抱き、離れたくても離れられず。
右手で私の顎をつかみ、顔をそらしたくてもそらせず。
石像のように固まった私の、唇の先に触れる触れないかの位置に顔を近づけられ、思わず息を飲んだ私に、きぃちゃんは喉を鳴らした。
……あれ?これ、誰だ…?
「あやは、誘惑するのがじょうずだね?どこで習ったのかな。」
ああああああ腰に響きますよ、きぃちゃん!!!!!なんて、現実逃避してみるものの、細められたその瞳は私を逃してはくれなくって。
「そんなに、美味しそうな脚をさらけ出して、無防備に…。そんなに食べて欲しかった?」
あ、やらかしたわ。と思った時には、もういただきます していた。
鳥のちゅんちゅんという声に誓った。
もう北三郎の餌にはならん!と。
ありがとうございました!




