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COMRADE

COMRADE ~七夕とマジックペン~

作者: 小田虹里

 七月七日。


 暑い日々が続く中。グレーのレンガ造りの建物の中で、何人もの子どもたちは、「シスター」と呼ばれる先生のもとで、過ごしていた。

 ここは、王国「フロート」直営の孤児院。ヴィクト。今は、昼の一時半をまわったあたりで、子どもたちは、日陰の中、すやすやとタオルケットをかぶって眠っていた。分厚いコンクリートから、熱はあまり外から入って来ないため、ひんやりとしている。過ごしやすい構造だ。


 ひとり。


 まだ、小さな少年は、寝ないで裏庭へとこそこそと出ると、日課となっている自らの「師匠」から教えを請おうと、きょろきょろいていた。


「カガ?」


 まだ、師匠の姿はない。ブロンドで色素の薄い髪をさらさらと風になびかせ、新緑色の瞳をきらきらと輝かせながら、白の長いワンピースのような服を着ている。


「ラナン」


 馬を引いて現れたのは、ブラウンの髪に、空色の瞳を持った少年。まだ、十を超えて幾らかしか経っていない、幼い少年。しかし、顔だちは幼さがあるものの、目の輝きはやけに大人っぽい。髪はやや長く、首の後ろで赤いリボンをして一束にまとめている。


「カガ! 今日は、なにをするの?」

「あぁ、これを持ってきた」


 カガは、紺色の軍服に身をまとっている。カバンを馬から降ろすと、その中から古ぼけた絵本を取り出した。


「なになに?」

「七夕に願いを」

「七夕?」

「今日という日を、古代では七夕と呼んでいたらしい」

「へぇ。いいことあるの?」

「あると、いいんだけど」


 ラナンと呼ばれた小さな子どもは、カガから嬉しそうに絵本を受け取る。すると、地面にそれを置いて、しゃがみこんだ。るんるんしながら、ページをめくっていく。


「わぁ、お星さまがいっぱい!」

「天の川だな」

「今の時代にも、見える?」

「見えていると、聞いた。ただ、私たちには星を眺める習慣がないから、気づかなかったんだな」

「今夜、みてみよーよ!」

「私は、夕方には城へ帰るよ?」


 カガは、フロート直属の部下であった。フロートとは、今、この七十世紀の世界を概ね支配している大国である。カガは、孤独な人生の中で、たまたま山の中に囲まれた、ここ、孤児院ヴィクトを見つけ、そこで、この緑の瞳の少年ラナンと出会った。

 ひととの関わりを極力持たないようにしていたカガだが、このような山の中ならば、誰にも知られることはないだろうと、ラナンを「弟」のように思い、文字の読み書きから、ありとあらゆることを、教えていた。


「僕はカガと一緒にみたい!」

「私だって、出来ればラナンと此処に居たい。でも、出来ないんだ」


 カガの表情がくもるのを察知して、ラナンはしぶしぶワガママをあきらめた。しかし、次のページをめくると、また、ラナンの好奇心をくすぶる絵が出てきたのだ。

 色とりどりの紙が、竹だろうか、笹だろうか。くくりつけられている。そこには、何かが書かれているようだ。


「カガ、これは?」

「短冊だよ」

「たんざく? なにするの? きらきらするの?」

「お願いごとを書くんだ」

「お願い?」


 カガは、優しい笑みを浮かべた。そして、しゃがんでラナンと視線の高さを合わせる。顔が近づいたことで、ラナンはより親しみを感じたのか、嬉しそうに目を輝かせる。


「信じれば、叶う」

「僕、短冊かきたい! カガ、書く!」

「七夕か……いいね。つくろうか」


 そうは言っても、この時代。紙は高級品だった。城には、書類を起こすために必要な紙はある。しかし、それを国王の許可なく持ち出すことは不可能である。そのため、カガ自身が自由に使える紙というものが、なかった。

 この、絵本を切り取ってしまえば「紙」は手に入るが、これはカガの所有物ではなかった。自分の師匠の書庫から、持ち出しているものである。


「カガ?」


 短冊を作るためには、何かを代用しなければならないと思った。そこで、ふと気づいたものがあった。カガは、カバンの中を再びガサゴソとあさり始める。ラナンはその様子を、わくわくしながら見守っている。


「それ……」


 カガが取り出したもの。それは、白くて細長い布。ラナンにも見覚えがあるものだった。


「包帯?」

「これなら、刻めば短冊になると思う」

「カガ、ケガするの?」

「え?」


 話題がそれている。そこに気づいたカガは、どう答えようかと戸惑った。


「ケガ……するから、包帯持ってるんじゃないの?」

「ケガは、たまにしかしないよ」

「痛い?」

「今はしていないよ。ほら、短冊を作る」

「レナも連れてきていい?」

「レナ? あぁ、レナン? 弟だな」

「うん」


 カガは、また悩んだ。今まで、レナンと顔を合わせたことはなかった。この、裏庭にはお化けが出るという噂があるそうで、子どもたちは滅多にここに姿を現さない。だからカガも、他の子どもたちや、シスターと顔を合わせず、ラナンと接することができると思い、安心している面があった。

 ただ、兄として弟にもこの「わくわく」する思いを共感してほしいと思う、ラナンの気持ちがわからないでもなかった。カガにも、実の弟が居たからだ。自分がラナンの立場だったならば、同じことを考えたはずだ。


「連れておいで。でも、周りの子やシスターには内緒だ」

「うん!」


 分かっているのか、分かっていないのか。ラナンは、ぱたぱたと足音を立てながら、建物の中へ入っていった。


「さて。三人分か……」


 短剣を鞘から抜くと、カガは包帯を切り始めた。包帯の上部は、竹……はないので、この裏庭の木の枝にくくれるよう、細く切り込む。手先は不器用だが、剣の扱いは得意である。また、変なところでこだわる性格で、均等の長さに切っていく。


(短冊はいい。ただ、文字は何で書こう……)


 黒鉛が一般的である。しかし、包帯のような粗い布目で黒鉛を用いて文字を書くのは困難。他には、植物をすり潰して筆で書いたりもするが、やはり向かない。カガは、この計画の行き詰まりを感じていた。


「カガ! レナ連れてきたよ!」

「……あ、あの」


 おどおどとした、ラナンと同じ顔……いや、瞳は青い。その少年を見て、カガは時が止まる思いをした。


「ハルナ……」

「え?」


 レナンに向けて放った言葉だった。思わず出た名前に、カガ自身が驚いている。


「短冊に書かなくとも、願いが叶ったような気分だよ」

「……?」

「ハルナって、カガの弟?」

「あぁ、そうだよ」


 カガは、ラナンに双子の弟が居ることは知っていた。しかし、その弟の瞳が青いとは知らなかったし、ここまで実弟のハルナに瓜二つだとは、思っていなかった。


「嬉しい?」

「……うん」

「そっか」

「……ラナン?」


 それを、ジェラシーという感情だということを、ここに居る三人は理解できなかった。ラナンは、自分だけの秘密の「兄」を、弟にとられたような感覚になっていた。でも、それをなるべく自分の中に押し込もうとして、笑顔を振りまく。


「カガ! 短冊は?」

「あ、あぁ。短冊はできたんだけど」


 そういって、カガはラナンとレナンにひとつずつ。包帯の切れ端を渡した。嬉々とした目でラナンはそれを受けとり、レナンは不思議そうな面持ちで、それを受け取った。


「何で書くの?」

「それが……困っていて」

「こんなものがあるよ」

「!?」


 小さな三人の頭を覆い隠すほどの影が突然、ふわりと現れる。なんの予兆もなく現れたその存在に、一番驚いたのはカガだった。


「な、なんで」

「マジックペン」


 突如現れた人物は、聞きなれない言葉を発した。双子は、突如現れたことよりも、興味は「マジックペン」に移っていた。


「お姉ちゃん、なに? それ」

「お姉ちゃん?」


 お姉ちゃんと呼ばれたその人間は、身体付は華奢で色白。背丈もそこまでは高くはないが、低くもない。声も、低すぎることはないが、女性らしい声ではない。この者が、女性でないことを知っているのは、カガだけである。


「あはは、お姉ちゃんか。まぁ、いいよ。ほら、マジックペン。多少はにじむかもしれないけど、黒鉛よりはマシだと思うよ」

「……なんで、ここに」

「たまたま通りかかったんだよ」

「見え透いた嘘をつかないでくださいよ」

「マジックペン、ちょうだい?」

「はい、どうぞ」


 カガの文句を簡単にあしらうと、お姉ちゃんは双子にマジックペンを渡す。それを見て、カガはラナンの補助にまわる。


「ラナン。なんて書く?」

「うんとね、お願い事は決めたの!」


 ラナンは、古代語の中でも「ひらがな」と呼ばれるもので、書きはじめる。


 かぞく、みんなでくらしたい。


「……家族」

「キミの家族は、誰のこと?」


 お姉ちゃんが、そう尋ねるとラナンはにっこり微笑んで答えた。


「あのね、パパとママと、レナとラナと、カガ!」

「……私も?」

「そうだよ? カガは、僕のお兄ちゃんだもん!」

「……うん」


 カガは、はにかみながら笑みを浮かべた。その様子を、お姉ちゃんは見逃さなかった。「城」では見せない、素直な表情を見て、安堵した。


「さぁ、弟くんはなんて書く?」

「僕、文字なんて書けない」

「私が代わりに書くよ。レナン、何を望む?」

「えっと、えっとね?」


 ラナンとずっと、いっしょにいられますように。


「レナぁ! そんなの、願わなくても僕はレナを守り続けるよ。レナの幸せは、僕の幸せだもん!」

「わ、ラナン。く、くるしいよ」


 ラナンは、弟レナンに勢いよく飛びついた。本当に仲のよい兄弟だと、微笑ましくなる。


「カガは?」

「なんて書くの?」

「え、あぁ……」


 カガは、どこか照れた様子で、その場では書かなかった。少し離れたところで、こそこそと書き、戻ってくる。その様子を急かすものは居なかった。


「書けた?」

「あぁ」


 せかいが、しあわせでありますように。


「欲がない子たちだ」

「欲?」


 お姉ちゃんは、くすくすと笑みを浮かべていた。決して、三人の夢を悪く言うのではなく、むしろ逆。こんなにも素直な子どもたちが、このご時世。まだ、存在しているというところに、「希望」を感じた。


「欲って、なぁに?」

「そうだね。人間の、毒々しい願望かな?」

「う?」

「この木に飾るのかい?」

「そうだよ!」

「それじゃあ、それはカガリに任せるよ」


 カガこと、カガリはそれを聞くと、自分よりも背丈の高いお姉ちゃんにそう告げられ、振り返る。


「どこへ……ぁ」

「あれ?」

「?」


 そこには、お姉ちゃんがいない。


「どこ行っちゃったの?」

「消えた」

「……」


 カガには、予想はついていた。その者が、どこへ帰っていったのか。しかし、それをこの双子に伝えることはない。そう、判断した。


「マジックペン」

「ん?」

「魔法使いだったのかな!」


 その言葉を聞くと、カガは目を閉じた。やわらかな風が吹き、日は徐々ン傾きはじめている。


「あぁ、そうだよ。世界で一番の魔法使いさ」

「魔法使いのお姉ちゃんは、お願いごとしなくてよかったのかな?」

「……そう、だな」

「……あ」


 レナンが声をあげる。一枚、すでに木の枝に包帯、もといい短冊がかかっていることに気がついた。


 こどもたちのねがいが、かないますように。


 誰にでも読めるよう、ひらがなで書いてあるそれは、ゆらゆらと気持ちよさそうに風に吹かれている。それを眺めながら、カガは「らしい」と思いながら笑みを浮かべた。


「ラナンとレナンのも、飾ろう」

「うん!」

「うん」


 カガが背伸びをして届く範囲ではあるが、なるべく上のほうに短冊を結んだ。絵本に載っていた色鮮やかな短冊ではなく、とても地味ではあるが、子どもであるカガたちにとって、はじめての七夕飾りにしては、十分だった。


「叶うよね」

「あぁ」

「お兄ちゃん」


 レナンが、カガに向かって声をかけた。もじもじと、兄であるラナンの後ろに隠れながらだが、カガにも聞こえるようにはっきりと言葉を発する。


「ありがとう」

「うん」


 カガはまた、優しく微笑んだ。


「それじゃあ、ふたりとも。室内に戻りなさい。私も、帰るから」

「もう、帰るの?」

「日暮れが近い。早く帰らないと、家まで遠いんだ」


 カガは、軍服を身にまといながらも、自分が「城」の住人であるとは告げていなかった。子どもたちには、この服の意味を理解する術がないことを知っていたので、気にすることもないと思っていた。


「また、会いに来るよ」

「約束だよ!」

「うん」


 そういって、カガは馬を走らせて山をおりていった。



 それから幾つもの年月が過ぎていった。


 あのとき、短冊に掲げた夢、希望は、まだ、どれも叶ってはいない。


 むしろ、真逆の道へと誘われている。


 ラナンは、フロートの圧政を見過ごせず、レジスタンス「アース」を立ち上げ、フロートが支配するこの世界での「敵」となった。


 レナンは、フロートの傭兵組織「ラバース」に所属する兵士のひとりであり、フロートに反旗を翻した兄、ラナンの命を狙う存在となった。


 カガは、フロートの国王の側近という立場となり、自由のない生活を強いられている。当然、ラナンとは敵同士。


「七夕か」


 大きな個室の椅子に、優雅に腰をおろして、湯飲みに注がれたお茶を飲む大人がひとり。窓の外から星を眺めていた。その視線の端に、自分が頼んだ本を大量に抱えてこちらに歩いてくる青年の姿をとらえる。


「カガリ。お前もお茶でも飲むかい?」

「いえ、やめておきます。まだ雑務が残っていますので」

「……覚えているかい?」

「?」


 優しい声色で、この部屋の主は言葉を紡ぐ。


「孤児院の裏庭の、内緒の七夕を」

「……あぁ、お姉ちゃん、ですか」

「そんな言われ方だったね」


 懐かしむように、当時のお姉ちゃんはくすくすと笑みを浮かべた。その様子を見て、カガは複雑そうな顔をする。


「……家族は、バラバラ」

「うん」

「ラナンとレナンは、殺しあう仲になってしまった」

「本気じゃないと思うよ」

「えっ?」


 部屋の主は、あのとき出会った双子の顔を思い出していた。


「レナンはきっと、本気で殺そうとはしていない。だって、ラナンは今も元気に反戦運動をしているじゃない」

「ラナンが単に、レナンより力が上ということでは?」

「それも、一理あるかもしれないけど……私は、レナンは本気じゃないと思うよ」

「そう、ですか」


 それなら、それに越したことはないとカガも思った。兄弟で殺しあうなんてこと、誰が願おう。あのとき、確かにレナンは「ラナンと一緒にいる」という道を、選んでいたのだから。あの目に、嘘はなかった。


「明日の私の任務はね、ラナンに会うことなんだ」

「!?」

「彼は、お姉ちゃんが私だとは思っていないだろうね」

「ラナンに会って……どうする、つもりですか」

「一瞬の出来事。双子の中の私は、ただの通りすがりの魔法使いのお姉ちゃん」

「私の話を聞いてください」

「お前の言うことなんて、聞かなくても分かっているから」


 そう言うと、魔法使いは立ち上がった。ゆったりとした仕草で、流れるような動きに無駄はない。ただものではないことがうかがえる。


「ラナンとは、話をしてくるだけだよ」

「そんな……国王からの勅命でしょう!? 引き受けてしまったのですか!……?」

「断る理由が、私にあるのかい? ないだろう? 私は、フロートの犬なんだから」

「……そう、かもしれませんが」

「お兄ちゃんが、そんな顔をしていたら、幸せは遠のくよ?」

「七夕なんて、所詮は伝説。古い、戯言だったのでしょうね」

「私はそうは思っていないよ」

「?」


 魔法使いは、カガより頭ひとつ分は背が高い。そのため、カガはその主の顔を見るために、視線をあげた。


「信じれば、叶うんでしょう? 言った当人が信じなくて、どうするんだい?」

「さ、最初からあそこに居たのですか!?」

「さぁ?」


 くすっと笑ったその次の瞬間には、もう、そこには誰も居なかった。残されたのは、本を持った、大人になったカガのみ。紺の軍服ではなく、白のコートに身を包み、伸びた髪の毛を束ねているのは、赤いリボンではなく、緑のリボン。


 夢と理想があるから、ひとは苦労をしてでも、幸せになろうと努力ができる。


 信じるこころを失えば、そこで道は途切れてしまう。


 今、あのとき短冊を掲げた「四人」は、まだ、誰も諦めてはいない。


 それぞれのベクトルが、よそを向いていたとしても。


 いつかまた、交錯するときが来ると信じて。


 ラナンは剣を持ち、仲間と旅を。


 レナンは、武器を持ちひとりでさまよう。


 カガは、様々な思惑に翻弄されながらも、守りたいものを影から支え。


 お姉ちゃんは、すべてのものを守るために、思考する。


 そこにはもう、「家族」という絆が浮かんでいるようである。



「ラナ」

「うぃ?」

「それ、なんです?」

「あぁ、リオ。これはな、マジックペン」

「まじっくぺん?」

「そ。魔法使いの、落とし物だ」


 空を見上げると、そこには幾多もの星が瞬いていた。




 こんばんは、はじめまして。小田虹里と申します。


 この、COMRADEシリーズをこよなく愛して、随分年月が経ちました。私が、高校1年生のときに考えた、自分にとっての小説処女作が、COMRADEであります。


 当時の設定と、今書いている設定は、ほとんど変わってはいないのですが、変わった点もちょこちょこと。カガリの髪の色、目の色、血の色。ラナンの名前は、はじめは「アレス」という名前で考えていたこと。身長が、双子は180cmを超えていたということ。ラナンは、酒は飲まないけれども、タバコをこよなく愛していたということ。これくらいではないでしょうか。

 高校1年生のときの私は、「タバコ」を吸うという大人に憧れを持っていたのかもしれません。小田のまわりには、タバコを吸うひとが、居なかったからかもしれません。

 両親は、お酒も好まず。ほとんど飲まないので、大人になった今も、父とふたりでビール缶1本で、済んでしまうほどです。飲まなくてもいい。いえ、たまに飲むとアレルギー反応が出てしまうこともあり、飲めない身体だったり。

 実際に、大人になって経験してみると、お酒は美味しくないとか、タバコは一生吸わずにおきたいとか。考えも変わって、キャラクターたちにも影響が出たのかもしれませんね。


 七夕。


 毎年、母が生きていたときには短冊をつくってくれて、お願いごとを書いてきました。母が最期に残した短冊は、今も、仏壇の中に飾られています。


「家族がみんな、健康で仲良く生きていけますように」


 その年に、永眠した母。


 忘れることなんて、出来ません。小田は、ママが大好きです。でも、小田にはまだ、パパが居てくれるから。頑張って、生きようって。


 この物語は、過去の話です。幸せだったカガリたちの顔が、ちらっとでも見えたら嬉しいです。誰にでも、「あの頃はよかった」っていうときが、あると思うんです。ひとは、それを「糧」に、生きていくものなのかな……って。そう、思えるようになりました。だから、小田は絶望するけれども、過去を思い出して、未来を描く。


 また、別の作品でもお逢い出来たら嬉しいです。ありがとうございました。


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