始まりと戸惑いと恐怖
今の世界から何十年もたった世界。
人間は少しづつ数を減らしていき,
今では10万人いるかいないかぐらいにまで減ってしまった。
人間の全ては北アメリカ大陸へと移住し,全人類の共通語は英語になった。
この国の幹部は歴史や史実を都合のいいようにかえてしまった。
がしかし,一人だけ例外がいた。
その男はかの国が隠していたこと全てを把握している唯一の人間だった。
男はとある島にいた。
いや島国という方が正しいだろう。
その男は研究者だった。
時には成功に喜び,時には失敗に落ち込んだ。
落ち込んでも最愛の妻と息子の写真が支えてくれた。
男はとある薬を今まで研究してきていた。
そして,今長年研究してきた,その薬がついに完成した。
この島国に伝わる伝説の病気を発症させる薬。
「ついに…ついにできたぞっ!」
「この薬を使えば…ぶふっ!」
「あーっはっはっはっはっは!」
「あーっはっはっはっはっはっはっはー…ふぅ」
男の笑い声と一際大きかったため息が山々にこだましていった。
ー北アメリカ大陸(ユーラシア大陸)ー
この中学校に転校して今日でぴったり1年目。
そんな俺,九道レンは,転校して初めて話した友達で今では親友のトム・ブラウンに,この学校1年目をお祝いしてもらう最高の日になる…はずだった。
あの事件が起こるまでは…。
ガラガラガラ…
「おはよう!トム!」
「……………」
「?…トム?」
「……………」
どうしたんだよトム?
「ふはははははは!ついに来たか我が宿敵よ!」
「!?」
トムの様子がおかしい。
「今日こそ決着をつけるぞ!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「えっ…あぁ…トム?エイプリルフールはもう過ぎたぜ?」
最近こういうジョークが流行っているらしい。
俺はこういうのには疎いから気づかなかったが。
「ふん!何を言っているんだ」
へ?
「我は冗談など言わぬ!」
おあ?
「塵になるがいいっ!」
…嘘…だろ?
「究極奥義!ダークナイト…ゴゴゴゴ…デスインパクトォ!」
「………」
僕は絶句した。
このジョークは一回言われたら終わりのはずだ。
トムはこういう事を延々と続ける奴じゃない。
しかも「ゴゴゴゴ」の部分は自分で言っている,…ダサい。
さらに,左目を手でおさえ,反対の手はこちらに突き出し,
足はがに股だ…ダサい。
とにかくトムはこんなことしないはずだ。
「どうしたんだよトム?」
「なっ…なにっ!」
「我の究極奥義がきかないっ…だと?」
また一人劇場が始まっている。
「そうなれば右目に封印されし魔眼を解き放つしかするしかない…」
そっちは左目だ…ダサい。
「トムくん…お父さんが帰ってきたらあんな風になってたらしいよ…」
近くの女子の会話が聞こえてくる。
「え?トムくんのお父さんどこに行ってたの?」
「それが廃絶の大陸なんだって…」
「へぇ…」
廃絶の大陸とは,全ての人間がこの大陸…つまりユーラシア大陸に移り住む前に人間がいた場所だ。
太平洋をはさんで向かい側にある。
「そんなところでなにやってたの?」
「うーん…それは知らないんだー…」
つまり,トムがこうなったのはトムのお父さんの研究内容に関係しているのだろうか。
どうも。
鎌鼬です。
獣転生~犬になって人生やり直し!?~を主にやっています。
最近行きづまっています。
なので箸休め程度に書き始めました。(笑)
獣転生の方にも御意見・御感想をいただけると幸いです。