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Loop4

こちらのミスで大変短いお話を公開してしまい、すみませんでした!

以下、続きとなります。

これからもミスがないよう気をつけたいと思っているので、これからもよろしくお願いいたします!

行き交う人々から自然と発せられる楽しげな声。


なにを買うか、どこへ行くか――そして、お店側の呼び声までもが私の聴覚を捕らえる。



それはまるで何かのお祭りのようで、自然と足を踏み出していた。



が。




「った」



誰かにぶつかってしまった。



「っす、すみませ……」


「――アリス!」



「……っへ?」



反射的に謝罪の言葉が出たが、それが終わる直前に耳を疑うような呼び声が聞こえた。




「久しぶり! まだ生きてたんだねっ、よかったよかった」




まだ? ――生きて、た?



目の前の人物を見上げてみると、そこにはカントや私にはなかったあるものが生えていた。頭に。



そのせいで、一瞬脳裏を過ぎった疑問は霧散してしまい、記憶に留めることすら叶わなかった。



「うさ、みみっ……?」


「っへ? なに、その反応は」



当然の反応な気がするが、逆に怪訝な顔をされてしまった。



目の前の黒髪短髪の男性は、真っ黒なうさぎの耳を頭のおおよそ中央よりの左右よりに生やしていた。

それに違和感を感じるというよりも、どちらかというと不思議な気持ちになった。



私やカントにはなくて――確か、あの看守にもなかった気がするうさぎの耳。


それは「ヘン」というよりも「不思議」という感情が勝るほどのものだった。



黒うさぎ耳をした彼は、どうでもよくなったのかすぐさま話題転換をしてきた。





「へんなの。いいや。――そんなことよりさ、この間はごめんね!」

「っへ?」



何の話!?



「え? だからー、この間に僕がユキノの所に行ってくるって言って約束を反故(ほご)にしちゃったことがあったでしょ?」

「え、あ、ああ……うん。確かにあったかもね」

「あったんだよ! もうっ。……もう忘れちゃったの?」



っていうことは、忘れることがあったのか。それなりに。



「あ、あはは……」


「もうーっ。自分が忘れるくせに僕が忘れていたら怒るんだよね、理不尽だよ」

「りふ……っ!? そんなわけないじゃない! 私は〝忘却〟で、貴方は違うでしょう!?」




あ、やば。



特になにもわかっていないのに言っちゃったけど、よかった……かな?




「まあねー。でもさー、アリスももうちょっと努力とかをした方がいいと思うけどなあー。……そのうち、全部なくなっちゃうよ?」



「――っ」



核心を突かれたと思った。




でも、彼はからっとした笑顔を向けて私の手を取った。




「そんな顔しないでよ。僕は、アリスを困らせたいワケじゃないんだ」




私は、どんな顔をしていたんだろう。


きっと、隠し切れなかったなにかしらの表情をしていたんだろう。




行こうよ、と握られた彼の片手は……温かかった。

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