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Loop3-2

確かに私としても、何故「私」がそんなふうに振舞っていたのか検討がつかない。


正直に言うと、バカだ。

カントの言葉を認めざるを得ないくらいに、バカな子に見える。



「……理由とかは」

「私が知るわけないでしょう」


「デスヨネー」



わかってましたとも。

貴方が私に無関心であり、なおかつよく思ってないことくらい。



例え記憶を失って自分自身のことを何一つとして覚えていないとしても、さすがに他人から言われた「私」を認めることはできなかった。

いわゆる、自分は自分をバカにしてもいいが、他人からはバカにされたくないということだ。


記憶を失ったといっても、この辺りの常識を失っていないのがせめてもの救いだった。



もし常識を失って、なににも無感動な状態になってしまったとしたら――




――それは「人」と呼ぶことができるのだろうか。




「それに、理由など自分で調べることです。自身の犯したことは、自身で(すす)ぐべきです」



ごもっともだ。



「……いいよ、私は行く」


「どこへ?」


「知らない。知るわけないし、知ってたとしても教えてあげない」



カントになんか。



「教えなくて結構です。どこへなりとお行きになればよいのです」



「…………」



にべもないカントを一瞥して、私は、この命を紡がせてくれた部屋を後にした。




××××




外に出たその瞬間、私の中で一番に刺激されたのは――聴覚だった。



もちろん、目の前を大勢の人々が通り過ぎたり、買い物を楽しむ姿は視覚に直接飛び込んできた。だが、それを大きく上回ったのが聴覚だった。

ただ、それだけだ。

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