表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
上京物語  作者: 辻 卜伝
7/14

第七章 晩春

それは突然だった


初の給料日で

少し浮かれていた


仕事が終わり

着替えて帰ろうとすると

声を掛けられた


ヤンキー風の

鈴木久美だった


今度の休みに

食事に行こうと言う


こんな事は初めてだ

しかも女性と、まともに

喋ったことなど無い。

どうすれば良いんだ?


とりあえず

食事に行く約束はした。


軽くパニックに陥る


その日から

休日までの間

何も手につかず


仕事ではミスを

繰り返し怒鳴られ


食事も喉を通らず


休日の事ばかり

考えていた。


約束の日の朝

昨夜は

一睡も出来なかった


一張羅の服を着て

待ち合せの駅前に向かった


30分程早く

到着してしまった


緊張はMAX

心臓はバクバク!

震えが止まらない


しかし予定の時間になっても

彼女は来ない・・・


10分 20分 30分・・

すっぽかされたのか?


1時間が経った・・・

「やっぱり騙されたんだな」

そう思って帰ろうとした時


そこに彼女は居た


鈴木久美 21歳

茶髪で服装は派手だが

容姿は可愛い女性だった


遅刻について

謝りはしなかったが

そんな事は

どうでも良かった。


食事は彼女が予約した

僕は入ったこともない

高級なレストランだった


僕はレストランでの

記憶がない


何を食べたのか?

何の話をしたのか?

まるで覚えていない。


気が付けば

アパートの

部屋の中に立っていた


もう深夜だ!

何時から

そこに立っていたのかも

どうやって帰って来たのかも

分からない。


ただ一つ確実な事があった


僕の携帯には

鈴木久美の

電話番号とメールアドレス

が入っていて


来週はデートの約束を

している、という事。


今年は低温な日が多く

季節はようやく

本格的な春を

迎えようとしていた・・・



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ