5/14
第五章 現実
何も変わっていない・・・
東京に来ても
特に変化は無かった
僕は相変わらず
存在を消し
極力、人と接しないようにしていた
人間が嫌い
人間が怖かったのかもしれない
住んでる所は
風呂なし共同便所の
ぼろアパート
高校時代のバイト代
だけで借りたから
こんなもんだろう
仕事は
マシンオペレーターと
言えば聞こえが良いが
金属を削る機械を
操作する
油まみれになる仕事。
だけど
一日中機械を操作している
方が人と接するより
気が楽で僕は
この仕事が好きだった
社長は金の事しか
考えていない
ような男で
どうも好きになれない
他の従業員は
事務のおばさんと
おじさんが二人
若いチャラそうな男と
ヤンキー上がりの
ような若い女
僕を含め
全部で6人
仕事が終われば
まっすぐ帰っていたし
会社の人達は
会社だけの
付き合いだった
アパートと会社を
往復するだけの毎日
東京でもつまらない
人生を過ごしていた・・・