不幸にする神に僕は恋をした
不幸の神、相手が近付いてくるほど不幸にしてしまう。
そんな神に一目惚れをした少年が主人公のラブコメ。
元カノ(?)も出るよ!
「じゃあ、行きましょうか」
「うん。そうだね」
ドアを開けた瞬間、猛吹雪になった。
「うぅ、私のせいで…」
「寒いから、とりあえず閉めようか」
ドアを閉めた瞬間、今度は晴天になった。
はて、これで本日何回目だろうか?
「じゃ、じゃあ、僕1人でケーキ買ってくるね」
「デートじゃないデートじゃない、ううん、これは2人でクリスマスケーキを買いに行くデート。違う、デートじゃなくって」
「行ってきますっ」
「は、はいっ、行ってらっしゃい!」
慌てて敬礼をされる。
神に敬礼される一般人、何だそりゃ。
2人暮らしができるほどの、ちょっと裕福な高校1年生、けど、あとは普通。
近付けば近付くほど不幸にする神に一目惚れをした、これも普通じゃないけど。
外見で一目惚れし、性格でもっと好きになった。可愛いから。
「うわー、イルミネーション綺麗だな。流石クリスマス限定のイルミネーション。うん、綺麗綺麗。
あの子と一緒に見たかった」
はあ、とため息が出る。
外に出た瞬間猛吹雪、閉めれば晴天、気象予報士もビックリな奇跡体験。
どうしろと。
「ケーキは、やっぱりショートケーキかな。あの子が好きそうなケーキって、ショートケーキじゃないか? 印象的に」
幼げで可愛らしい外見、はわわな性格。
「うん、ショートケーキ。早く店に行かなくちゃ」
ケーキの店に入る。
後で、僕は反省した。
「おう、元カレじゃん。お前も1人でクリスマスだよな? な?」
「何で元カノが…!」
ジャージ、そしていつものように化粧なし。髪は短く、背は少し僕より高い。
後で、僕は反省しました。
『店に入る前に客を確認しよう』
と。
ちなみに、僕より1つ上、同じ高校の2年生。
「おいおい、今の彼女と全然違うじゃねえか、なあ?」と言いたい奴、これには理由がある。
「1人でクリスマスなんだよな? 私と違うとか、そういうことじゃないよな? 私は1人なのに」
「そりゃあ、高校生で束縛系は、ちょっと」
「また付き合おうぜ? やっぱワタシにはお前しかいねえよ、きちんと1時間ごとに返してくれてたし」
目をつけられ、束縛されていたんです。
活発系の元気っ子に見えるけど、束縛系なんです。重めなんです。返事を返さなかったら大量のメッセージを送られたりするんです。
「彼女いるか? なあ、いるのか?」
笑顔で聞いてくる元カノ。元カノ? いや、束縛されてただけで。
「彼女いるのか?」
笑みが深くなる。
「います」
僕は返す。
「何回も言いますが、僕には彼女がいます。どんな目にあっても、僕は彼女を愛し続けます」
すると元カノ(?)は頭をかき、
「いや、そんな真剣に言われたら。
別に、痛い目にあわせようとかは思わねえよ? けど、愛し続けるって、お前も大概だな」
そう言って2回くらいうなずくと、
「好きなものを買ってやるよ、おごりだ」
「いえ、僕のお金で払います」
「太っ腹な先輩って思わねえの!? いいけどよ!?」
「私がいる必要ってありますか?」
部屋に帰り、ケーキ買ってきたよ、というとそう返される。
ジト目で。
わあ、可愛い。
じゃなくて、
「ケーキ食べようか」
「デートできないのに」
「はい、皿を出しまーす」
「食べようとしたら爆発するんだ、ケーキは爆発するものだから」
「ショートケーキ、好き?」
「大好きです」
「よかった」
「じゃあ、皿にのせたし、食べようか」
僕は微笑んで言う。
「食べる、ぐすん」
悲しそうな表情。
だから僕は、
「僕には、君しかないないよ」
「え?」
「ケーキの店に向かっていたときも、客と話していたときも、君だけのことを考えていた」
「ふえ?」
「君は、近付く人を不幸にしてしまう、そういう神だ。けど、僕はどんな目にあっても、君を好きでいるよ。好きだから」
「…」
ボワン、と神の頭から湯気が沸く。
なんだろう、なんか僕も恥ずかしくなる。言いたいことを言っただけなのに。
「さ、食べようか」
「は、はいっ」
そういえば、すごい近付いたのに全く不幸にならなかったな。
と思いながら風呂に入るため、お湯を入れようとする。
「水しか出ない…」
水道水はきちんと払っているが。
「温泉に行けるチャンス?」
「雪だるまの吹雪ですー」
真冬なのに、水風呂。
明日学校だし…。
頑張ろう、水風呂。
次の日からはきちんとお湯が出た。
後から来るパターンだったようだ。
不幸の神=メンヘラ気味の女児。
元カノ=元気っ子に見える束縛系。
主人公=不幸の神が大好きだけど実は重い?
な感じでした。
ありがとうございました!




