メデューサの恋
この洞窟の奥に辿り着けば、不老不死になれるらしい。洞窟の奥につくと若い女の姿があった。俺が声をかけると彼女は振り向き、俺は石化した。
洞窟の奥にいたのは、見るものを石に変えるメデューサだったのだ。
なるほど、石化すれば不老不死だ。しょうがない。メデューサの置物として、これからの人生を楽しむとしよう。
メデューサは石になった俺に話しかけた。恋をしたい。でも、全ての男を石にしてしまう。というのが、悩みだそうだ。俺は石になっているので頷けないが、心の中で頷いた。
彼女は、イケメンの俺を気に入ったらしい。石になった俺を、微笑みながら撫でてくる。なんて健気なんだろう。俺は石になっているが、照れてしまった。
頭の中に誰かが話しかけてきた。俺の右前方の石像からだ。俺より大分ブサイクな像だ。『イケメン様は良いよな。石になってもモテモテで』、なんと言う事だ。 石像同士は話せるらしい。石だけに意思疎通ができるのだ。
俺がブサイクな石像に返事をしようとしたら、メデューサはブサイクな石像を、どん。と押した。ブサイク像は、倒れて粉々に砕けてしまった。メデューサがヤキモチをやいたのかもしれない。
彼女は、毎日石化を解く方法を試していた。照れながら俺にキスをしてみたり、妙な液体をかけてみたり、僕に花の首飾りをつけたり、俺はそんな彼女をだんだん好きになっていった。石だけど…。
ある日、俺が目を覚ますと石化が解けていた。体が自由に動く。きっと、彼女の努力が報われたのだろう。俺は彼女の寝室のドアを開けた。
彼女はベッドの上で、冷たくなっていた。
俺が石化して数百年、彼女の寿命は尽きてしまった。彼女の呪いが解け、俺の石化は解けたのだ。




