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バイク乗り2004 ~ある女性の全国放浪記~  作者: r_SS
第八章 健輔じいさん ~出発の歌~
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第八章 健輔じいさん ~出発の歌~ 11

「ねぇ健輔じいさん、次はどこに行くの?・・・・・・・・ん?ねぇどうしたの?何だか随分と具合悪そうだけど・・・・・・」

 先程から少々顔色を悪そうにしている健輔の姿を見て、茜は心配そうに声をかけた。

「あ、ああ別に大丈夫だよ。ここ2~3日ずっとはしゃぎ過ぎたのか、ちょっと疲れが出ちゃっただけだから。これだから年寄りは本当に駄目なんだよね・・・・・・すまんねお嬢さん、心配かけさせちゃって。」

 健輔はそう言っていたが顔色は悪くなる一方だった。

「ね、ねぇちょっと待ってよ!本当に大丈夫なの?そうだ、あそこにベンチがあるからあそこに座ってちょっと休もうよ、ね?健輔じいさん。」

 茜は健輔の容態が心配になっていた。

「あ、ああそうだね・・・・・・・本当に迷惑かけちゃって済まないね・・・・・」

 健輔は何とか茜の言う事に反応を示していたが、顔色を真っ青にして呼吸を荒くしていた。

「ハア、ハア・・・・・・・・・・・」

 健輔は息苦しくて歩くのがやっとの状態であった。

「ね・・・・・・ねえ、本当に大丈夫?!ああ、どうしよう!!!!!!!」

 健輔のあまりの容態の悪さに茜はオロオロしていた。

「う・・・・・・・うぅ・・・・・苦しい・・・・・ああ・・・・・!!!!!!」

 苦しそうに健輔がそう言った途端、そのままその場に倒れ込んでしまった。


「健輔じいさん!!!!!!!ちょっとどうしちゃったのよ!!!!!ねぇ、健輔じいさん、健輔じいさんってば!!!!!!!!!!!」

 茜は健輔の体を揺さぶらせながら必死で呼びかけ、周囲の人々も何が起こったのか騒然となっていた。

 同じタイミングで、撮影の仕事が終わった森沢堅太郎が騒ぎを聞きつけて人ごみの中をかき分けながら茜達の元へやって来たのである。そして苦しそうに横たわっている健輔の姿を見て驚いた。

「じいさん!!!!!!一体どうしちゃったんだよ!?大丈夫か?」

 堅太郎はすぐさま健輔を抱きかかえる様にして問いかけた。

「け・・・・・・堅太郎君か・・・・・・・?」

 健輔は青ざめた顔で堅太郎の顔を見た。

「ね、ねえ健輔じいさん。とりあえず一緒に宿まで戻ろうよ。バイクの後部座席じゃしんどいかもしれないけどさ。とにかく早く戻らないと大変な事になっちゃうよ!!!!!」

 茜は健輔を愛車カワサキ250TRが置いてある駐輪場まで連れて行こうとした。本来なら自動2輪免許取得後1年未満で2人乗りは違反となるのだが、今の茜にはその様な事を考えていられる余裕はなかったのだ。

「う・・・・・・・・うぅ・・・・あぁ!!!!!」

 健輔は立ち上がるのも辛そうだった。そこですぐ様堅太郎が茜の前に立ちはばかった。


「おいお前!じいさんをこんな目に遭わせやがって、一体何したんだよ!!!!!お前な、自分が今どれだけとんでもない事をしているのか分かっているのかよ!!!!」

 堅太郎はひどく怒っていた。

「何って・・・・・・・そっちこそ一体何なのよ!!!!!いきなりしゃしゃり出てきちゃって冗談じゃない!!!!!とにかく今はあなたと言い争っている暇なんてないんだからさっさとそこどいてよ!」

 茜は堅太郎から無理矢理健輔を奪い返そうとしたが

「お前邪魔だからどけよ。」

 と、堅太郎は茜の手を振り払って健輔を自分の車へ乗せてしまった。

「ちょっと何すんのよ、いい加減にしなさいよ!!!!!とにかく健輔じいさんは私が連れて帰るから、森沢さんは一切余計な事しないで!」

 茜は何とかして堅太郎の車から健輔を引っ張り出そうとしたが

「いいからどいてろ!」

 と、再び堅太郎に振り払われてしまい、茜は思いっきり地べたに倒されてしまった。

「痛い!何すんのよ!!!!!!」

 茜は腰に手を当てながら言ったが堅太郎は無視してそのまま健輔を自分の車に連れて発進してしまった。堅太郎の車に乗せられた健輔は

「お願い・・・・・・お願いだから2人共いがみ合ったりしないでくれ・・・・・」

 と息絶え絶えになりながらつぶやいていたが、堅太郎は無言のままハンドルを握っていた。


 地べたにしゃがみ込んだまま1人置いて行かれた茜は無言でゆっくりと立ち上がった。そしてそれまで雲1つなかった青空が一転して雨雲に覆われてしまい、ポツリポツリと来たかと思いきや、一気にザーザーと大雨が降って来た。茜はそのまま駐輪場へ向かい、ヘルメットを被ってカワサキ250TRに跨り、白川郷を後にした。


 (どうして・・・・・・どうしてなのよ!一体私が何をしたって言うのよ!悔しい・・・・・・悔しい!!!!!あの森沢って男絶対に許さない!)

 どしゃぶりの中、茜は堅太郎に対して憎悪の気持ちを抱きながらバイクを走らせていた。

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