第八章 健輔じいさん ~出発の歌~ 7
「それじゃあ日が暮れない内に帰って来るんだよ。」
「はーーーーーい、そんじゃ行ってきまーーーーーーーーーす。」
茜はペアレントに見送られながら愛車カワサキ250TRに跨り、白川郷へ向かうべく国道360号線を突っ走った。高山市街地を抜けた途端、周囲は昔話に出てくる様な日本の田舎の風景へと様変わりをした。茜はどこか懐かしさを感じるその風景を心地よく感じつつ、鼻歌交じりでひたすら白川郷方面へとバイクを走らせた。岐阜県大野郡白川村こと 『飛騨白川郷』 、”合掌造り”と呼ばれる技法で建てられている独自の民家が密集しており、その美しい昔ながらの風景が世界遺産の1つとして指定されている場所であった。
「おや、お嬢さん。又会ったね。」
白川郷の入り口である『であい橋』を渡ろうとした所で『健輔じいさん』こと土橋健輔に出くわした。
「健輔じいさん!今日もしかしたら又会うんじゃないかな~って思ってたんだけど、例によってまた会ったね!」
茜は健輔にそう言うと、周辺を警戒しながら見回した。
「ん?どうしたんだねお嬢さん。」
「い、いや別に・・・・・・・・・・・」
「分かった、堅太郎君の事だね。彼なら今撮影の仕事に夢中になっててあちこちと写真を撮りまくっているよ。」
健輔は茜が堅太郎の事を警戒していると即座に察した。
「そ、そうなの?ああ良かった~!!!!!!!健輔じいさんには悪いんだけど、私どうしてもあの森沢さんって人苦手なのよね。それじゃあ健輔じいさんは今1人?」
「ああそうだよ、そう言えばお嬢さんはこの周辺は初めてだって昨日言ったよね?僕は今日1日暇だし、せっかくだから僕が白川郷を案内するよ。」
「えぇ、本当っ!?わーーーーーーい、嬉しい!!!!!!そんじゃ是非ご一緒させて頂きますっ!!!!!」
この日1日茜は健輔と”デート”する事となった。




