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第六章 密室 4

(えーーーん!!!!このままじゃ日が暮れちゃうよ・・・・・・・・・・・)

 タイヤの故障から2時間余り経過したが、未だに誰1人その未舗装道路付近に通りかかる者はおらず、茜は途方に暮れていた。このままだと森の中たった1人で一晩過ごすことになってしまう事を想像すると、茜は半べそをかきながら早く誰か来てほしいと願うばかりであった。しかし一向に人が通る気配は感じられなかった。


 日が暮れて空がうっすらと暗くなろうとしているその時、遠くから車が走る音がした。そしてその音はだんだんと茜がいる方向へと近づいて来たのである。

 (誰かがこっちに来る!!!!!!!!)

 とっさにそう判断した茜は車の音がする方向に向かって自分がいることを大声でアピールした。

「すみませーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!バイクが故障して身動きが取れないんです。助けて下さーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!!!!!!!!」

 茜が大きく手を振りながら救助を求めると、間もなく近づいてきたその軽トラックの運転手はすぐに気付いて停車し、車から降りてきた。

「ちょっと君、大丈夫!?あっちゃー!!!!!!!タイヤがパンクしたんだね。これじゃあ走れないよな・・・・・・。ところで君、ここでどの位待機していたの?」

 運転手の男が茜に声を掛けた。

「えぇっと・・・・・・大体4時間位かな?このままだと野宿しなきゃならなかったから本当に人が来てくれて良かったです!!!!!!!!」

 茜はやっと人が来てくれた事に対してホッとしながら言った。

「うーん、このままじゃ絶対にバイク動かせないし俺だって君の事をここで見放す訳にも行かないからなぁ・・・・・・・。よっしゃ!とりあえずそのバイクは俺の車に乗っけて運んでやるよ。それから君、地元の人じゃなさそうだけど・・・・・・・」

「そうなんです。私関東から1人でバイクに乗ってあちこち旅をしているんですけど、まさかこんな奥地でタイヤがパンクするだなんて思ってもみなかったから、本当にどうすればいいのかパニックになってしまって・・・・・・・。それに私、今日過ごす宿をまだ決めていないんです。」

 茜がそう言うと、その男は”おおっ!”とした表情になった。

「えぇ?そうなんだ!これは偶然というか何というか・・・・・・・。実は俺、今ここの近くにある安宿でバイトしているんだ!」

 突然の朗報に茜はびっくりした。

「えぇ?そうなんですか!?」

「ああ、しかも今日から宿主が1週間程留守にしてて今の所俺に一切の管理を任されているんだ。それに今日部屋に空きがあるから、これも何かの縁だと思ってさ、せっかくだからうちに泊まって来なよ!」

 その男は茜に対して初対面であるにも関わらず親切な態度であった。


「い、いいんですか?うーん・・・・・・・・・・」

 茜は少々考えていた。というのもこの男、確かに見ず知らずの茜を親切に助けてはくれたものの、金髪にピアス、それに日焼けサロンで焼いたと思われる不自然な肌の色に光物のアクセサリー等、どこからどう見ても地方の山奥でアルバイトをしているとは思えない程の風貌で、かなり胡散臭い雰囲気を醸し出していたからである。

 しかしこのままでは野宿する他ないし、タイヤも修理に出さないと移動ができなくなってしまうので、ここはとりあえずこの男の言う通り一晩だけ過ごし、明日になったらすぐにバイクを修理に出して移動しようと判断し、男がアルバイトをしている安宿へ連れて行ってくれとお願いした。

「よし、じゃあ俺はバイク積んでおくから君は助手席に座って待っててよ。

 おっと!自己紹介まだ済んでなかったな。俺は永井って言うんだ、宜しく!」

「私は大橋茜。本当に何から何までありがとうございます・・・・・・」


 茜が助手席で待っている間、永井と名乗る男は自分の軽トラックに走行不可能となったカワサキ250TRを乗せ、すぐに宿に向かって出発した。

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