表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バイク乗り2004 ~ある女性の全国放浪記~  作者: r_SS
第五章 繊細な彼女
39/151

第五章 繊細な彼女 2

「まぁ、オートバイであちこち駆け回っているだなんて素敵ね!!!」

 「えっ、そんな~っ!別に自慢するような事していないって。私まだ中免取って3ヶ月ちょいだし、ここに来る前にもエンジンかからなかったり転倒したりして色々と大変だったんだから・・・・・。」

 茜は『知床旅人庵DGH』にて同室になった中乃谷陽子と女同士話に花を咲かせていた。


 中乃谷陽子 30歳

 千葉県千葉市在住の看護師だが現在事情があって休職中の為、

 時間に余裕ができて知床にやって来た、との事であった。


 「あら、転倒だなんてケガは大丈夫だったの?北海道内でオートバイがスピードの出し過ぎで事故死するって話よく聞くし、私自身仕事柄事故で搬送される患者を今まで何人も見て来てて、その姿と来たらもう言葉では言い表せない程ひどい場合もあるから・・・・・。何もなくて本当に良かったわね。」

 「まあ体が丈夫なだけなのが取り柄だから。ただその後がね・・・・・・・。」

 「えっ?その後何かあったの?」

 茜は陽子に山口和義から受けた”シゴキ”の話をした。

 「えぇ?!やだ何それ、随分と面白い人ね!自分の事を『永遠のライダー』だなんて言ってしまうなんて・・・・。でも”やりたい事に年齢なんて関係ない”って考えがとても素晴らしいわ!」

 「もう本当に1度会ったら忘れられないんだから、和義さんのキャラと来たら!」

 山口和義の強烈な個性ぶりを陽子は笑いながら聞いていたが、、

 「うふふ。けどね茜さん、その位で驚いちゃ駄目よ。旅人庵はもっと凄いわよ。」

 「えっ、何が凄いの?陽子さん教えて!」

 茜は旅人庵がどれだけ凄い施設なのか陽子に聞いたが

 「ふふふ、それは後でのお楽しみ!」

 と言われるだけであった。

 「私もかれこれ旅人庵には10年近く来てるけど、毎回毎回来る度にここの”もてなし”には圧倒されるばかりですもの。」

 陽子は看護学生だった頃から旅人庵の常連客であったのだ。

 

 「さぁーーーーーーーーーーーーー皆の衆!今日の”ディナー”は何と、何と、何と!!!!!!皆の大好きなジンギスカンだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!早く食堂に来ないと大事な肉がなくなっちゃうから今すぐ集合ーーーーーーーーーーーー!!!!」


 鼓膜が破れる程大音量の 『ジンギスカン』をBGMに夕食の案内アナウンスが流れた。

 「な、何なの???今のって夕食のアナウンス????」

 茜は目を丸くさせながら言った。

 「あぁ、ここの館内放送はいつもあんな調子よ。それにジンギスカンだって毎週1回は必ず出るメニューだし。さ、早く食堂に行きましょ。」

 「そ、そうだね・・・・あはははは・・・・・・。」

 (何だか知らないけどちょっと旅人庵って普通じゃないよ。一体何なのって感じ!!!!)

 食堂に行こうと部屋を出る際に、茜はふと陽子の左手の薬指にはめてある指輪を目にした。

 (あらら、陽子さんって結婚してるんだ・・・・・・。)

 と思った直後であった。

 (ゲッ!!!!!!何コレ!?)

 茜は一瞬ギョッとした。偶然にも左手首の方まで目をやると、陽子の左手首には明らかに手首をカミソリ類で意図的に切ったと思われる『リストカット痕』が多数残っていたのである。固まってしまった茜を顔を見て陽子は怪訝そうに

 「どうしたの?」

 と尋ねてきたので、慌てて何事もなかったかの如く振舞ってそのまま食堂へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ