第三章 サイクル野郎 ~青年は荒野をめざす~ 10
「それにしても遠野の夜って暗いよね、本当に帰れるかどうか心配になって来たよ。全く靖君もよくこんな暗い道1人で行けたよね。感心しちゃうよ。」
「おいおいそりゃお互い様だろ?そっちだって女1人でよくこんな道歩けるよな。」
「あはは、そりゃそうだ。ま、DGHからそんなに距離は離れていないだろうから大丈夫でしょ。
あっ!今うちらが通っている道を真っ直ぐ行って突き当たった所行くと昼間のバーベキューで遅刻した時にバイクで走った道だ!やった~、帰れる!!!!」
「おお!良かった~、こんな所で道に迷ったらマジで洒落にならねぇからな。」
もうすぐ2人共『遠野ふるさとDGH』へ到着しようとした矢先であった。
「ん?ねぇ靖君、今茂みの方で何か話し声が聞こえて来なかった?」
「さぁ、知らねー。気のせいじゃん?」
「そうかな・・・・・。んんんんん?ちょっと待って!やっぱり聞こえるよ。
もしかしたらペアレントさん達がうちらの事探しているのかもしれない!」
2人が外へ飛び出してからかなりの時間が経過していた為、宿主であるペアレント夫妻が心配して茜達の事を探しているのかもしれないと思い、とりあえず2人が通っている左側にある茂みの方へ声を掛けようとした。しかしそこには見慣れぬワゴン車が1台と覆面らしきものをかぶった不審者がが3~4人程いて何か怒鳴り合っている様子だった。
「おい、ここ一体どこなんだよ!」
「そんなの俺の知った事か!第一こっちだてサツに見つからない様に
必死で車を走らせたんだから目的地がどこだなんていちいち
頭ン中に入ってねぇよ!!!!」
「バカヤロー!!!目的地がどこだか知らねぇってお前何やってんだよ!
昨日のニュースでもやってただろうが!今ここら一帯でサツが俺達を
パクろうと目を光らせているのが!第一こんな所にいるのサツに
見つかってみろ?俺達も手に入れたブツも一貫のおしまいだ!!!」
「ね、ねぇ。あの人達“サツ”だの“ニュース”だの何だか変な事言ってない?」
「ああそうだな。それにあいつら覆面みたいなの被ってるしちょっと様子がおかしいぞ。」
茜と靖はその人物達に気付かれぬ様、ヒソヒソ声で会話をした。
「あのさ・・・・・さっきから気になっているんだけど、昨日の夕食後に観たニュースで盛岡で起こった連続強盗事件の速報があったの覚えてる?あのニュースで言ってた内容とあそこにいる人達の特徴がやけに共通点がある様な気がするんだけど・・・・・。」
「えっ?じゃああいつらが例の連続強盗犯だって言うのかよ!?」
「シッ!声がでかい!!!!!」
思わず大声を挙げてしまった靖の口を茜はすぐに押さえた。しかし
「おい、誰かいるのか?いるんだろう、出て来い!!!!!」
茂みの下から声がした。どうやら気付かれてしまった様である。
「隠れてないでとっとと出て来い!そこにいるのは分かってるんだぞ!!!」
彼らの内の1人が茂みの方に向けて懐中電灯を照らし始めた。
(どどどどどど、どうしよう!!!こんな所にいるの気付かれたらおしまいだ!!!!)
茜と靖、2人共ガタガタ震えながら連続強盗犯達に見つからない様隠れていたが
「ヘ・・・・・・・ックショイ!!!!!」
緊張のあまり靖が大きなくしゃみをしてしまったのである。その瞬間懐中電灯の光が2人のいる方向へ照らされ、見つかってしまったのである。
「お前ら・・・・・・今の話聞いてたな。」
ドスの利いた声で言った途端、茂みの下にいた人物すなわち盛岡での連続強盗事件の犯人達が2人のいる方向へ駆け上ってきた。
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
茜と靖は悲鳴を挙げながらDGHのある方向へ全速力で逃げて行った。




