第三章 サイクル野郎 ~青年は荒野をめざす~ 5
「それじゃあ今日の夕食は庭でバーベキューやるから、買い出しの時間等も含めて午後3時になったら玄関前に集合ね。」
遠野に来て3日目を迎えた。この日も新しい宿泊客はおらず、茜と靖ら含めて4人だけであった為、ペアレントの計らいで夕食はDGH前の庭にて皆でバーベキューをする事となった。集合時間までの空きは各自それぞれの時間を過ごす為茜はバイクで花巻方面へ、靖は自転車で デンデラ野から遠野昔話村というこれ又体力勝負のコースに出て、残り2人は前日の疲れが出てDGH内で休む事となり、各自解散した。
遠野から左側に行った所にある 岩手県花巻市は童話作家 宮沢賢治ゆかりの地であり、今、桜地人館内にある『雨ニモマケズ詩碑』の前に茜は立っていた。
(『雨ニモマケズ 風ニモマケズ』、ねぇ・・・。まるでどこかの誰かの事だよ。)
一昨日靖が全身ずぶ濡れでDGH内へ入って来た事を思い出した。
「さてと、そろそろ行きますか。」
茜はエンジンをかけて桜地人館を後にし、花巻市内巡りをした。この後イギリス海岸に宮沢賢治が晩年過ごした家がある 羅須地人協会等を観光し、そのまま 花巻温泉郷へ向かった。
(あ~気持ちいい!そう言えば今回の旅で初めて温泉に入ったんだ。)
茜は時間が経つのを忘れて心行くまで温泉を楽しんでいた。温泉から上がって着替えも済ませ、ふと時計に目をやると既に午後2時半を過ぎていた。
(やばっ!3時集合なのにこれじゃあ確実に遅刻だ~。)
茜は大急ぎで花巻温泉郷を出発し、遠野へ戻って行った。




