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第三章 サイクル野郎 ~青年は荒野をめざす~ 2
この日の夕食はカレーライスであった。そして今、宿中全員が1人の少年の方へ目が行っていた。そう、先程玄関前で倒れた彼である。それにしてもこの少年、さっきまで気絶して寝込んでいたにも関わらず今はすっかり調子を取り戻し、カレーを何杯もおかわりしているのである。
「んぐんぐ・・・ぷはーっ、おかわり!」
一体さっきからどれだけ食べているのやら、身長165センチメートルにも満たない小柄な体格なのによく口の中に物が入ると周囲一同唖然としていた。
「ハイハイ、おかわりね・・・あれ、もうなくなっちゃった。ハハハ・・・」
と従業員も苦笑いをする。
「チェッ、もう無いのかよ。それにしても今朝から何も食ってないからすっげぇ飯が旨いよな!!!」
と少年が言うと
「あ、あの・・・ちょっと口つけちゃったけど良ければこれ食べていいよ・・・」
別の宿泊客が自分の分のカレーを差し出した。
「ぜんっぜん構わないっすよ。わー、嬉しいな。そんじゃ遠慮なく頂きま~す。」
少年は差し出されたカレーを一気に頬張った。
(ななななな、一体何なのこの子?何だかとんでもない所へ来た様な気がするんだけど。)
茜のDGHデビューは大食らい自転車旅行少年との出会いで飾ったのである。




