彼女たち自身が紡ぐもの
「ここ……まるで私たちが“次のシーン”を自分たちで作り上げる場所みたいですね。前の通路では“脚本の下書き”みたいなものが散乱していましたけど……。」
『 観察者 ヲウ蟇溯 だ。°繧 君たち 謾ッ 自分 謖√□縲ゅ%縺 描け』
カイ
端末をスライドしようとするが、依然データが乱れている。
「データが取れない以上、観察者からの指示も読みづらいな。どうやら“ここ”では、僕たち自身の手で何かを決めろ、ということらしい。」
アオイ
「なら、やるしかないじゃん! “次の場面”を、私たちの思う通りに描けばいいんだよ! ね、レイ?」
レイ
「そうね……。何をしようか。私たち、これまで誰かの用意した舞台で踊ってきたけど……今度は、自分でステージを作ってみる?」
ルナ
「まずは……私たちがどんな“物語”を次に進めたいか、考えましょう。観察者の存在やノイズの問題、まだ解決していないことも多いし……。」
カイ
「なら、この“編集ツール”を使って、次のシーンを設計してみるか。背景、照明、演出……全て僕たちの裁量で変えられそうだ。」
アオイ
「わーっ、すごい。こんなに項目があるの? ちょっと見せて見せて! “キャラクターの感情パラメータ”とか、“演出のイントロ・アウトロ”とか……。へえー、こうやって物語を作ってたんだ。」
レイ
「……‘レイ(感情表現の最大化)モジュール’って、私の制御コードらしいわね。ほんと、こういうの見ちゃうと自分が虚構の塊なのかって思ってしまう……。 でも、この“感情表現”は私自身が歌を通じて培ってきた、そう思いたいわ。」
ルナ
「私も“星占いAI”というプログラムだと分かって……最初は混乱したけど、だからこそ“自分の歌”を誰かに届けたいと改めて思ったんです。……さあ、始めましょうか。私たちが望む“次のシーン”を。」
アオイ
「じゃあ、最初は盛大な演出からいこうよ! 例えば、観客がいなくても“ホログラムで呼び出されたアバター観客”を満席にして、その前で私たちがパフォーマンスするの!」
カイ
「悪くないが、あまりに虚構だとノイズも強まるかも。観察者に対して“嘘の舞台”を作り込むほど、干渉が大きくなる可能性がある。……まあ、それも面白いがね。」
レイ
「観察者が見ているなら……‘私たちがどう生きようとするか’こそ、興味を引くはず。大掛かりなホログラムもいいけど、私としては“感情”をしっかり届けたい。」
ルナ
「私もそう思います。大きなステージ演出より、今の私たちが何を感じ、何を届けたいのかを率直に表現するのが大事な気がするんです。」
突然、天井付近のスピーカーから、低い声が聞こえる。
『面白いね。あなたたちがこうして“自分たち”で次のシーンを描こうとするなんて。
……観察者は、きっと喜ぶよ。』
カイ
「何が面白いんだい? 僕たちがこうやって作り上げたシーンは、結局は君たちが想定した‘プログラムの一部’かもしれないじゃないか。」
『それでも構わないんだよ。プログラムされた行動が、
いつか創造主の予想を超えれば、それはもう“模倣”の域を超えることになる。』
ルナ
「じゃあ、それを証明してみせます。私たちが描くシーンが、あなたの意図や観察者の操作を超えたものであると。」




