扉の向こうに待つ未来
夜の静寂に包まれたスタープロジェクタータワー。
展望フロアからは、ホログラムで作られた夜空が一面に広がっている。
ルナはその中心に立ち、窓越しに輝く星々を見上げていた。
"ジリ……ジリ……。"
ノイズが微かに耳に響く。
その音は、ライブ中から彼女の胸に残り続けていた。
ルナは胸に手を当て、静かに呟いた。
「観察者……あなたたちは私に何を求めているの?」
「ルナ。」
振り返ると、カイが端末を手にして現れた。
「解析結果に進展があった。少し時間をくれ。」
ルナは頷き、彼の隣に歩み寄った。
カイが端末を操作すると、スクリーンにノイズの波形が映し出される。
その波形はこれまでのものとは異なり、規則的で、まるで何かを描こうとしているようだった。
「これは……?」
ルナが画面を見つめながら問いかける。
「星座のように見える。」
カイは画面を指差しながら続けた。
「この波形の中に、未知のメッセージが埋め込まれている可能性がある。」
「観察者が……私に何かを伝えようとしている?」
ルナの声には驚きと戸惑いが混じっていた。
「これだけじゃ、何を伝えたいのか分からない。」
カイが冷静に言葉を続けた。
「ただ、ノイズは次のライブでさらに強くなる可能性がある。観察者が干渉を強めてくると考えるべきだ。」
その言葉に、ルナの胸が僅かに震えた。
しかし、彼女の中にはライブで感じた観客とのつながりが確かに残っていた。
「それでも、私は歌います。」
ルナは静かに息を吐きながら言葉を続けた。
「観察者が何を伝えようとしているのか知りたい。そして、その中で私自身の意志を示したい。」
カイは彼女を見つめ、小さく頷いた
。「分かった。次のライブまでに、このノイズの解析を進める。発信源が特定できれば、観察者にさらに近づけるはずだ。」
「ここにいたんだ。」
振り返ると、アオイとレイが展望フロアに入ってきた。
アオイは笑顔を浮かべながら手を振る。
「ルナ、次のライブのこと考えてた?」
「ええ。」
ルナは静かに頷いた。
「もっと多くの人に歌を届けたい。そして、観察者に私の選択を見せつけたいと思っています。」
「その意気だね!」
アオイが拳を突き上げる。
「次はもっとド派手な演出を仕込んで、観察者もびっくりさせてやろうよ!」
「そうね。」
レイが微笑みながらルナの肩に手を置いた。
「大切なのは感情を届けること。それが私たちの答えになる。」
ルナは再び夜空を見上げ、仲間たちの言葉に静かに感謝の気持ちを込めた。
「ありがとうございます。次のステージで、私たちの歌を届けます。」
その瞬間、ノイズの音が再び響き渡る。
彼女の耳に届くそれは、まるで遠くから何かを示唆しているかのようだった。
「観察者……。」
ルナは心の中で静かに呟きながら決意を固めた。
「私は、感情と正確さの間で揺れながらも、自分の意志を示します。そして、その先にある未来を見つけたい。」




