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第58話 Osaka-Second攻略

「うぅ、頭が痛い……」


「あはは、ちょ~っと”お話”しすぎましたかねっ」


 トレードマークである白を基調とした騎士衣装(例のくまさん冒険着は断固として拒否された)に身を包んだ萌香は、二日酔いらしく頭を抱えている。


「全く……エース探索者として体調管理がなってないぞ?

 ダンジョンに入ったら治癒術を掛けてやるよ」


「ぐうっ、返す言葉もない……。

 まさか統二が、こんなに酒が強かったとは」


「お盆やお正月はウチのお父さんに付き合って、夜通し飲んだりしてましたからねっ」


「ぐぐぐ……たくさん酔わせてドキドキ介抱大作戦♡が」


「あはは、ちょい無謀でしたね」


「????」


 翌日の午前11時。

 Osaka-Second主幹エレベーターの前に、デモ攻略に参加する探索者たちが集合していた。


「あ! あたしたちの名前が書いてあるわよ」


 どうやら、数組ごとに別の階層に潜るらしい。

 自分たちの名前が書かれたパネルの前に立つ。


「俺たちの担当は……73階層?」


 正面の巨大モニターに、各パーティの担当階層が表示される。


「それって結構厳しくね?」


 現在のOsaka-Secondの最深攻略階層は第81階層。

 73階層は、十分最奥部に値する。

 トップクラスの探索者が担当する部分じゃないのだろうか?


「何を言っている」


 ふん、と鼻を鳴らし腕を組む萌香。

 どことなく得意げだ。


「探索者登録僅か4か月でレベル90に達した”穴守鉄郎の秘蔵っ子”。

 ジュニアクラス歴代2位のレベル50になった理沙にレベル40台の礼奈もいるのだぞ」


「にははっ♪」


「それに統二、お前は”神憑き”だ。

 第71階層でも役不足と言えるんだ。そもそも……」


 なおもいろいろ説明してくれる萌香だが、あることに思い至る。

 そうかそうか、レベル153の萌香がパーティの平均を上げてくれたおかげだな!


「そういえば、若手トップの萌香がいるもんな!

 萌香のおかげで凄いダンジョンに挑戦できるぜ。さすが俺の自慢の同期!

 ありがとな!」


 なでなで


 萌香の頭を優しく撫でる。


「!?!?!?

 おっおっおっ……おまえはあああああああっ♡♡♡」


 顔を真っ赤にする萌香。

 おっとまずい、またもや子ども扱いしてしまった。


「うわぁ……無自覚なアレ火力高すぎない?」


「そう、それがいいんだよぉ♡」


「ウチの姉がマゾだった草」



 ……しゃなり



 そんないつものじゃれあいを繰り広げていると、耳に涼やかな鈴の音が届く。


 ふわり


 ひんやりとした冷気が全身を包む。


「あなたは!」


「お待たせしたわね」


 聞き覚えのある声に振り返る。


 コンと対照的な黒と赤を基調とした巫女服に全身を包み。

 狐の像があしらわれた杖を手に持った環菜さんが立っていた。


「本日はよろしくお願いしますわね」


 彼女はそういうと、蠱惑的な笑みを浮かべたのだった。



 ***  ***


『岐阜県からやってきたクライネーズ、なんと73階層に挑戦!

 おっと、見慣れない女性がパーティに参加してますね!』


 Osaka-Secondの第73階層。

 どうやら、大手動画サイトとのタイアップで攻略の様子が生配信されるらしく、俺たちのダンジョンアプリから実況音声が流れる。


 >すご、協会がこんなエンタメ配信をやるなんて!

 >竹駒プロ全面協力らしい

 >さすが美里たん

 >どこ見ようか目移りすんな?

 >やっぱクライネーズだろ? 萌香もいるし、礼奈ちゃん可愛いし

 >ロリコン乙。やっぱ理沙ちゃんだろ?

 >同レベルだろ! ……ワイはコンちゃん

 >ガチは消毒よ~


 ものすごい量のコメントが流れていく。

 俺たちの配信の視聴者数は70万人。

 相当な数字である。


『参加10チームの中でTOPクラスです!! 頑張ってください!!』


 美里さんの声援がヘッドセットから聞こえる。


「了解です!!」


 いつも通り、俺たちは探索を開始したのだが……。



「ツイン・ソニックラッシュ!!」


 ザシュッ!!


 幾重にも重なった真空の刃が、大型のマンティコアを切り刻む。


「はあああああああああっ!!

 縮地爆裂掌!!」


 どうんっ!


 マンティコアの懐に飛び込んだ理沙の打撃技が、モンスターの巨体を粉々に吹き飛ばす。

 ちなみに、技の名付け親は俺である!!


「ナイスだ、理沙!!」


「タイミングばっちりです、モエさんっ!!」


((どやっ!))


 俺にドヤ笑顔を向ける理沙と萌香。


「おお~、配信映えするナイスコンビネーションだと思うぞ!!」


((がくっ))


 なぜか少々ずっこける二人。


「……ふっ」


 しゃりん


 ゴオオオオオオオッ


 環菜さんが手にした杖を振ると、漆黒の吹雪が渦を巻き、マンティコアの背後からこちらに飛び掛かろうとしていたグリーンドラゴンを凍り付かせる。


(ちらり)


 なぜか色っぽい流し目を送ってくる環菜さんだが……。


「おお~!」


 あまり見たことのない、特殊な効果を持つ魔法……感動するぜ。

 なにより、黒い吹雪というのが男子の中二心をくすぐると言えよう!


 めきっ


 鈍い音と共に、杖が少し曲がる。

 彼女も気合が入っているのだろう!


「にはは! 見ものじゃのう!!」


「えっと……コントかな?」


 いつも以上に気合の入った萌香と理沙、スポット参戦の環菜さんのおかげで、どんどん攻略が進んでいくのだった。



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